アン真理子

アン 真理子

アン 真理子（アン まりこ、1945年 - ）は、日本の音楽シーン、そして表現の世界で多才ぶりを発揮した女性アーティストです。本名を佐藤ユキ（さとう ユキ）といい、歌手、作詞家、女優と、幅広い分野で活動しました。

そのキャリアは、宝塚歌劇団に似たレビュー劇場の日本劇場（日劇）において、ダンサー兼コーラスの一員として幕を開けました。舞台での経験を積み重ねた後、ジャズピアニスト平岡精二率いるクインテットなどでもソロ歌手としてステージに立ち、その歌唱力と存在感で注目を集めていきます。

転機となったのは1966年です。東京ヒルトンホテルの著名なラウンジ「スター・ヒル・プラザ」での出演をきっかけに、後の音楽パートナーとなる出門ヒデとデュオユニット「ユキとヒデ」を結成します。翌1967年には、同ユニットとして記念すべきデビューシングルを発表し、人気を博しました。また、同じ1967年1月からはTBSラジオで放送開始された番組『どこか遠くへ』において、初代アシスタントとしてラジオパーソナリティの経験も積んでいます。

「ユキとヒデ」としての活動を続ける一方で、彼女は「藤ユキ」という別名義でもソロ歌手としての道を歩み始めました。ユキとヒデがポリドールレコードに所属していたのに対し、藤ユキ名義でのソロ活動はビクターレコードで行われるなど、異なるレーベルから作品を発表していた点が特筆されます。

しかし、デュオ活動は1968年に終止符を打ち、「ユキとヒデ」は解散。アン真理子（当時は藤ユキ）はソロ名義での活動を継続しました。相方であった出門ヒデは、同年新たに「ヒデとロザンナ」を結成し、再び音楽シーンで成功を収めています。

1969年には、ソロ活動における名義を現在の「アン真理子」に改め、新たなスタートを切りました。アン真理子名義でのレコードもビクターレコードからリリースされましたが、後に日本コロムビアからも作品を発表するなど、活動の場を広げました。

歌手活動と並行して、アン真理子は作詞家としても才能を発揮しました。「アン真理子」名義に加え、本名である「佐藤由紀」の名義も使用し、他のアーティストへの楽曲提供も積極的に行っています。特に、かつてのパートナーである出門ヒデが結成したヒデとロザンナへの「笑ってごらん子供のように」（佐藤由紀名義）や、フォークデュオのビリー・バンバンへの「海」（アン真理子名義）、湯原昌幸への「今にわかるわ」（佐藤由紀名義）などは、彼女の作詞家としての実績を示す代表例です。

さらに、彼女は表現者としての領域を広げ、女優としても活動しています。1975年には、臼井高瀬監督、冒険舎製作の映画『冒険者たち』に出演し、娼婦役を演じるなど、演技の世界でも存在感を示しました。また、1976年には、集英社発行の雑誌『週刊プレイボーイ』にてヌードグラビアを披露し、話題となったこともありました。

アン真理子の音楽活動の軌跡は、多数のレコード作品として残されています。ユキとヒデ時代の作品とは別に、藤ユキ名義、そしてアン真理子名義で数多くのシングルやオリジナルアルバム、ベストアルバムなどがリリースされ、その歌声は今も多くの人々の心に響いています。

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