アヴィアドヴィガーテリ PD-14

PD-14：ロシアの新世代ターボファンエンジン

PD-14は、ロシアのアヴィアドヴィガーテリ社が開発中の次世代ターボファンエンジンであり、イルクート MS-21 旅客機の代替エンジンとして注目されています。このエンジンは、2010年代初頭から開発が進められており、ロシアの航空産業における重要なプロジェクトの一つです。

開発の経緯

PD-14の開発は、1999年にPS-90Aエンジンの技術を基盤としたPS-12計画として始まりました。燃料費の高騰を背景に、2008年にはより強力な圧縮機とタービンを搭載する設計へと大きく転換しました。2010年代に入ると、エンジンのコア試験や技術デモンストレーターの組み立てが行われ、2015年にはIl-76LLテストベッド機に搭載されて飛行試験を開始しました。2020年には、MS-21-310型機にPD-14が搭載され、初飛行に成功しています。

設計の特徴

PD-14は、従来の設計を踏襲した2軸式高バイパス構造を採用しています。ファンブレードには中空チタン合金が使用され、高圧タービンには3次元的な形状と先進的な内部冷却溝が導入されています。また、エンジンナセルには炭素繊維強化プラスチックやポリマー複合材料が多用され、軽量化が図られています。これらの設計により、PD-14は従来のロシア製エンジンと比較して、燃費効率が10-15%向上し、騒音や排出ガスも大幅に低減されています。

派生機種

PD-14をベースとした様々な派生機種が計画されています。PD-8は、スホーイ・スーパージェットやAn-148などの代替エンジンとして計画されており、PD-12Vは、Mi-26ヘリコプターの代替となるターボシャフトエンジンとして開発が進められています。さらに、より高推力のPD-35は、将来のワイドボディ機への搭載を目指して開発されています。

搭載機と今後の展望

PD-14は、MS-21旅客機への搭載が予定されており、その他にもIl-214やCR929といった航空機への搭載が検討されています。アヴィアドヴィガーテリ社は、BRICS諸国で製造された航空機への売り込みや、PD-14をベースとしたエンジンの共同開発を提案しており、国際的な協力も視野に入れています。

PD-14の開発は、ロシアの航空産業の発展に大きく貢献すると期待されています。燃費効率の向上や環境負荷の低減といった特徴は、今後の航空機の設計において重要な要素となるでしょう。また、PD-35などの派生機種の開発は、より大型の航空機への搭載を可能にし、航空輸送の可能性を広げるものと考えられます。

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