ア・フュー・グッドメン

映画『ア・フュー・グッドメン』の魅力

1992年に公開された『ア・フュー・グッドメン』は、アメリカを代表する映画の一つであり、アーロン・ソーキンの舞台劇を基に監督ロブ・ライナーが映像化しました。本作のストーリーは、海兵隊員の殺人事件を巡る軍法会議を中心に展開され、正義とは何かを問いかける作品です。主なキャストにはトム・クルーズ、ジャック・ニコルソン、デミ・ムーアがおり、彼らの演技が物語を一層引き立てています。

ストーリーの概要

物語は、キューバにあるグァンタナモ米軍基地で発生した海兵隊員ウィリアム・T・サンティアゴの殺人事件から始まります。被疑者とされたのは同じ部隊のハロルド・W・ドーソン上等兵とローデン・ダウニー一等兵。二人の弁護人として任命されたのは、ハーバード大学出身の若手中尉ダニエル・キャフィ（トム・クルーズ）です。しかし、キャフィには法廷での経験がほとんどありませんでした。

サンティアゴは、基地の過酷な訓練に耐えかねており、ドーソンによる不法発砲を口実にして基地からの転籍を試みようとしていました。これに激怒した基地の司令官ネイサン・R・ジェセップ大佐（ジャック・ニコルソン）は、軍内での暴力的制裁を命じる「コードR」を発令します。キャフィはこの複雑な案件を引き受け、特別弁護人のジョアン・ギャロウェイ少佐（デミ・ムーア）と共に、真実を追究していくことになります。

決戦の法廷

キャフィは初めは裁判を簡単に済ませようとしますが、徐々に事件の背後に潜む真実に気づき始めます。彼は同僚のサム・ワインバーグ中尉（ケヴィン・ポラック）と力を合わせ、証拠を集め、正義を求める戦いを続けます。やがて、失踪していた副司令官のマシュー・マーキンソン中佐（Ｊ・Ｔ・ウォルシュ）が現れ、真実を語ると約束しますが、直前に自殺するという衝撃的な展開が待っています。

最終的には、キャフィは懲戒覚悟でジェセップを証言台に立たせ、自らが指示した「コードR」の存在を認めさせます。法廷での二人の対決は、キャフィの巧みな弁護によって進展し、ダウニーとドーソンは無罪となりますが、軍に対する背信のため除隊処分となります。特に、この裁判を通じてダウニーは、自分が守るべきものが軍の規律ではなく、弱者であるサンティアゴであることを悟ります。

映画の評価と影響

『ア・フュー・グッドメン』は製作費約3300万ドルに対し、アメリカ国内で1億4000万ドル以上の興行収入を記録し、数多くの賞にノミネートされました。また、ニコルソン演じるジェセップの名セリフ「You can't handle the truth!」（おまえに真実は分からん！）は、アメリカ映画の名セリフとして高く評価されています。

この作品は、法廷劇の枠を超えて、人間の信念や道徳について深く考えさせる内容となっており、今なお多くの観客に愛され続けています。映画化の前提となった舞台作品も1989年からブロードウェイで上演され、その後も各国で舞台化されるなど、影響力のある作品として語り継がれています。

もう一度検索