アーサー・チチェスター (初代ドニゴール侯爵)

アーサー・チチェスター（Arthur Chichester, 1st Marquess of Donegall）は、1739年6月13日に生を受け、1799年1月5日にその生涯を閉じた、アイルランド王国およびグレートブリテン王国の重要な貴族であり政治家でした。彼は第3代ドニゴール伯爵アーサー・チチェスターの次男であるジョン・チチェスターと、第3代準男爵サー・リチャード・ニューディゲートの娘エリザベス・ニューディゲートの子として生まれました。

教育と初期の経歴

若い頃、アーサーは1748年からウェストミンスター・スクールにて基礎教育を受けました。その後、高等教育の場としてオックスフォード大学トリニティ・カレッジに進み、1757年11月25日に入学しました。大学では学問を修め、1759年7月5日には文学修士（M.A.）の学位を、そして1763年7月7日には民法博士（D.C.L.）の学位を取得しました。

爵位継承と政治活動

1757年9月30日、伯父である第3代ドニゴール伯爵アーサー・チチェスターが死去したことに伴い、彼はドニゴール伯爵の爵位を継承し、第4代伯爵となりました。貴族としての地位を確立した後、1765年10月22日にはアイルランド貴族院の議員として議会活動を開始します。

さらに、彼はグレートブリテン王国の政治にも関わります。1768年のイギリス総選挙において、マームズベリー選挙区から出馬しました。長年の友人であった第12代サフォーク伯爵ヘンリー・ハワードの強い支持を得て、見事に議席を獲得しました。同年9月15日には、アイルランド枢密院の枢密顧問官にも任命され、枢密院の一員として政治に関与することとなりました。議会においては、チャタム伯爵が率いる内閣の時代、友人のサフォーク伯爵と歩調を合わせ、野党勢力の一員として投票行動に参加しました。しかしながら、彼自身が議場で演説を行ったという記録は残されていません。1774年のイギリス総選挙には再び立候補せず、下院議員の職を退きました。

新たな叙爵

政治的な影響力と地位は高まり続けました。1790年7月3日には、グレートブリテン貴族としてスタッフォードシャーにおけるフィッシャーウィック男爵に叙せられました。これは、両王国の貴族としての地位を兼ねることを意味しました。さらに、1791年7月4日にはアイルランド貴族として、新たにベルファスト伯爵およびドニゴール侯爵の爵位を与えられ、初代ドニゴール侯爵となりました。

死去と後継

1799年1月5日、アーサー・チチェスターは逝去しました。彼の保有していた爵位は、息子であるジョージ・オーガスタスが継承し、第2代ドニゴール侯爵となりました。

家族

アーサー・チチェスターは生涯に三度結婚しました。

最初の結婚は1761年11月16日、第5代ハミルトン公爵ジェームズ・ハミルトンの娘であるアン・ハミルトン（1738年11月生、1780年11月11日没）とでした。この婚姻により、三人の息子をもうけました。

ジョージ・オーガスタス（1769年生 - 1844年没）- 父の死後、第2代ドニゴール侯爵位を継承しました。
アーサー（1771年生 - 1788年没）- 若くして亡くなりました。
* スペンサー・スタンリー（1775年4月20日生 - 1819年2月22日没）- 1795年8月8日に第7代ギャロウェイ伯爵ジョン・ステュアートの娘であるアン・ハリエット・ステュアート（1850年1月30日没）と結婚し、子をもうけました。彼は後に初代テンプルモア男爵となるアーサー・チチェスターの父にあたります。

アン・ハミルトンとの死別後、1788年10月24日にはコンウェイ・スペンサーの娘シャーロット・スペンサーと再婚しましたが、シャーロットは翌年の1789年9月19日に亡くなりました。

三度目の結婚は1790年10月12日、ルーク・ゴドフリーの娘バーバラ・ゴドフリー（1768年頃生 - 1829年12月28日没）とでした。

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