アーサー・ハーデン

アーサー・ハーデン卿(1865年10月12日-1940年6月17日)は、糖の発酵に関する画期的な研究で知られる、イギリスを代表する化学者の一人です。彼の業績は、生化学、特に発酵の理解に革命をもたらし、1929年のノーベル化学賞受賞へと繋がりました。

ハーデンは、イギリスのマンチェスターに生まれました。幼少期を私立学校で過ごし、その後、マンチェスター大学のオーウェンスカレッジに進学。化学を専攻し、著名な化学者ヘンリー・エンフィールド・ロスコー教授の下で研鑽を積みました。1885年に卒業すると、ドルトン奨学金を獲得し、ドイツのエアランゲン大学へと留学。かの有名なオットー・フィッシャー教授のもとで研究を行い、博士号を取得しました。

ドイツでの研鑽を終えると、ハーデンはマンチェスター大学に戻り、講師兼実験助手として職に就きます。その後、1897年には、英国予防医学研究所（後のリスター予防医学研究所）の研究員となりました。そして、1907年から1930年まで同研究所の生化学部長を務め、同研究所における生化学研究の中心的役割を担いました。

ハーデンの研究は多岐に渡り、塩素と二酸化炭素の混合物における光の作用に関する研究や、バクテリアによるアルコール発酵の研究なども行っています。しかし、彼の最も重要な研究は、イースト菌によるブドウ糖の分解に関するものでした。この研究は、発酵のメカニズムを解明する上で重要な一歩となり、生化学分野における彼の地位を確固たるものとしました。また、ビタミンに関する論文も発表しており、幅広い研究活動に携わっていたことが分かります。

彼の卓越した研究成果は広く認められ、1935年には王立協会フェローに選出されました。これは、科学者にとって最高の栄誉の一つであり、ハーデンの研究業績がいかに高く評価されていたかを物語っています。

ハーデンは、バッキンガムシャー州ボーンエンドにて、74歳で生涯を閉じました。しかし、彼の残した研究成果は、現代の生化学研究の基礎を築き、現在でも高く評価されています。ノーベル賞受賞という輝かしい功績、そして、生化学分野における彼の多大な貢献は、後世に長く語り継がれるでしょう。彼の研究は、発酵研究のみならず、生化学、医学、そして食品科学など、様々な分野に影響を与え続けています。アーサー・ハーデン卿は、真に偉大な化学者であり、その功績は、科学史に大きな足跡を残しました。

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