バッキンガムシャー

バッキンガムシャー州：歴史と自然が織りなすイングランド南東部の魅力

バッキンガムシャー州（Buckinghamshire）は、イングランド南東部に位置する典礼カウンティです。愛称は「バックス (Bucks)」で、州都はアイルズベリーです。古くからの歴史と美しい田園風景、そして近年の発展が調和した魅力的な地域となっています。

地理と産業

バッキンガムシャー州は、オックスフォードシャー、ノーサンプトンシャー、ベッドフォードシャー、ハートフォードシャー、バークシャー、そしてグレーター・ロンドンと接しています。南にはチルターン丘陵、北にはヴェイル・オブ・アイルズベリが広がり、多様な地形を見せています。最高地点はウェンドーヴァー近くのクーンビヒル（海抜267メートル）です。

肥沃な土地を活かした農業が盛んで、特に19世紀にはロスチャイルド家が多くの土地を所有していました。伝統的な家具製造業（ハイウィコムが中心）や、製薬会社、サービス業、販売業なども発展しています。ロンドン近郊という地理的条件から、ロンドンへの通勤電車も運行しており、都市部との結びつきも強いです。

歴史

バッキンガムシャーという地名は、アングロ・サクソン語で「ブッカの家のある地区」を意味します。アイルズベリは紀元前1500年以前から居住があったとされ、ローマ時代以前の土塁なども州内に多く残っています。ローマ街道も州内を東西に走っており、古くから交通の要衝であったことがわかります。

アングロ・サクソン時代には、ウェセックス王チェルディッチとブリトン人の戦いなど重要な歴史的出来事が起こりました。また、ブリルには王宮が作られ、聖人たちも輩出しました。1086年のドゥームズデイ検地では、州の富と土地所有状況が記録されています。

プランタジネット朝時代には、王室による土地の私物化が進みました。王室狩猟地も多く存在し、白鳥は王室の所有物とされていたことから、現在でもバッキンガムシャー州の紋章には鎖に繋がれた白鳥があしらわれています。ヘンリー8世は、アイルズベリを重要な町として発展させるなど、州の政治にも影響を与えました。

清教徒革命時代には、議会派と王党派の勢力が対立しましたが、バッキンガムシャー州内では議会派が優勢でした。17世紀末には、クエーカー教徒のウィリアム・ペンがアメリカにバックス郡（ペンシルベニア州）を建設し、バッキンガムシャーの地名を多く用いました。

産業革命と鉄道の敷設は、バッキンガムシャーの景観を大きく変えました。製紙業や家具製造業が発展し、一方では貧困層の雇用問題も発生しました。ヴィクトリア朝時代にはコレラの大流行や飢饉の影響を受け、土地所有構造にも変化が見られました。

20世紀には、ミルトン・キーンズやスローといった新しい都市が発展し、地方政府再編も経験しました。ミルトン・キーンズは1997年に単一自治体となり、バッキンガムシャー州の一部が減少しました。

行政

かつてのバッキンガムシャー州議会は、アイルズベリに置かれていましたが、1997年にミルトン・キーンズが単一自治体になったのをはじめ、2020年4月1日には、ミルトン・キーンズ以外の地域が単一自治体としてのバッキンガムシャーとなり、カウンティ議会は廃止されました。

観光名所

バッキンガムシャー州には、歴史的建造物や自然豊かな場所が多く存在します。ナショナル・トラストが管理する庭園や屋敷、歴史的な建物、博物館などが点在し、観光客に人気です。また、ロアルド・ダール児童文学博物館など、子供も楽しめるスポットもあります。

著名な人物

バッキンガムシャー州は、多くの著名人を輩出しています。作家イーニッド・ブライトン、アン・ブーリン、ベンジャミン・ディズレーリ、政治家イアン・ダンカンスミス、音楽家ノエル・ギャラガー、俳優アンジェリーナ・ジョリーなど、様々な分野で活躍した人々が、この地と関わりを持っています。

まとめ

バッキンガムシャー州は、豊かな歴史、美しい自然、そして近代的な発展が共存する魅力的な地域です。ロンドンへのアクセスも良く、観光や居住地としても人気の高い場所となっています。

もう一度検索