アーサー・W・ラドフォード (駆逐艦)

USSアーサー・W・ラドフォード (DD-968) について

USSアーサー・W・ラドフォードは、アメリカ海軍が運用したスプルーアンス級駆逐艦の6番艦です。この艦は、第二次世界大戦後のアメリカ海軍において重要な役割を果たしたアーサー・W・ラドフォード提督に敬意を表し、その名が付けられました。

艦歴

アーサー・W・ラドフォードは、1970年代にミシシッピ州パスカグーラのインガルス造船所で建造されました。1975年3月21日にアーサー・W・ラドフォード提督の未亡人によって命名・進水し、1977年4月16日に正式に就役しました。

就役直後、アーサー・W・ラドフォードは東海岸での航行中に不具合が発生し、修理のために建造所のインガルス造船所へ帰還を余儀なくされました。修理後、再び出航し、サウスカロライナ州チャールストンへの寄港を経て、母港であるバージニア州ノーフォークに到着しました。

その後、海軍水上戦闘士官訓練司令部の支援のためロードアイランド州ニューポートへ向かいました。この際、LAMPSヘリコプターが艦の後部デッキに着艦し、LAMPS運用分隊が乗艦しました。ヘリは一旦ノーフォークへ帰還しましたが、後に再びラドフォードに合流し、ニューポートでの停泊後、母港へ帰還しました。

配備と活動

アーサー・W・ラドフォードは、就役後、数回にわたり配備され、様々な任務に従事しました。具体的な配備内容については詳細な記述が残されていませんが、アメリカ海軍の駆逐艦として、平時・有事を問わず、広範な海域で活動したと推測されます。

ステルス化への取り組み

1997年5月、アーサー・W・ラドフォードは、ステルス性を向上させるための改修を受けました。この改修では、平板で囲まれた新型マスト（先進型閉囲マスト/センサー）が導入され、レーダー反射を低減するための新素材や各種センサーが内蔵されました。この改修は、当時の最新技術を駆使したもので、ラドフォードの戦闘能力を大きく向上させました。

衝突事故

1999年2月5日、アーサー・W・ラドフォードは、バージニア岬沖でサウジアラビア船籍の貨物船サウジ・リヤードと衝突事故を起こしました。当時、ラドフォードは電子戦設備の測定作業中であり、サウジ・リヤードのバルバス・バウがラドフォードの右舷前方に衝突し、艦体に大きな損傷を受けました。この事故により、5インチ砲基部、弾薬室、ソナー室など多くのスペースが浸水し、船体は左舷側まで損傷が及びました。艦首は4フィートほど沈み、乗組員一名が腕を骨折する負傷を負いました。

ラドフォードは自力でノーフォークに帰還し、修理のためドック入りしました。修理費用はおよそ6500万ドルにのぼり、修理完了後、任務に復帰しました。この事故の責任を問われ艦長は義務不履行として処分されました。しかし、その後の民事裁判で、海軍はラドフォードに過失はないと主張しました。

退役とその後

アーサー・W・ラドフォードは、26年間の現役任務を終え、2003年3月18日に退役し、2004年4月6日に除籍されました。退役後、ペンシルベニア州フィラデルフィアの不活性艦整備施設で保管されていましたが、2011年8月10日、人工魚礁として北緯38度31分、西経74度31分の海域に沈められました。

まとめ

USSアーサー・W・ラドフォードは、アメリカ海軍の歴史において、重要な役割を果たした駆逐艦の一つです。その艦歴は、冷戦時代から現代まで、アメリカ海軍が直面した様々な課題と、それに対する技術革新と対応の歴史を反映しています。また、その退役後の人工魚礁としての活用は、環境保護への貢献という新たな側面を示しています。

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