アーディル・アブドゥルマフディー

アーディル・アブドゥルマフディーの政治的経歴

アーディル・アブドゥルマフディー・アル＝ムンタフィキー（1942年生まれ）は、イラクの政治舞台において重要な役割を果たしてきた政治家です。彼は主に副大統領や財務・石油大臣、そして首相として知られています。シーア派政党のイラク・イスラム革命最高評議会 (SIIC) に所属し、幅広い経験を持つアブドゥルマフディーは、イラクの政治において信頼される政治的存在でした。

幼少期と教育

バグダードで生まれたアブドゥルマフディーは、シーア派の聖職者であった父のもとで育ちました。彼は名門のイエズス会系高等学校で教育を受け、その後経済学を学び経済学者としての道を歩み始めました。しかし、1969年に彼はフランスへ亡命し、そこでの活動は政治的な方向転換をもたらしました。

政治キャリアの始まり

イラクで活動していた1970年代、アブドゥルマフディーはイラク共産党の最高幹部として知られるようになります。当時、共産党は二つの派閥に分かれており、彼は中核派に属しました。しかし、1980年代初頭にはその派閥が弱体化し、アブドゥルマフディーはイスラム主義者へと転向しました。彼はイランのホメイニー政権の思想の影響を受け、共産主義からの脱却を図りました。

1982年には、イランにて亡命政党「イラク・イスラム革命最高評議会」に加わり、その後のイラク政権への影響を持ち続けました。

重要な役職

暫定政権下において副大統領に採用された後、アブドゥルマフディーは2006年の統一イラク連合から首相に立候補しましたが、わずか1票差で落選しました。その後も首相候補として高い評価を受け続け、再び副大統領に選ばれました。彼は2011年5月までその役職を務めました。

暗殺未遂と危機

政治的な活動の中で、アブドゥルマフディーは2007年に暗殺未遂に遭うなど、多くの危険に直面しました。その結果、彼に対して警護体制が強化されました。また、彼のボディーガードが銀行での強盗事件に関与したことも取り沙汰され、政治的な評判にも影響を与えました。

首相就任

その後、2018年にアブドゥルマフディーは新しい首相として大統領のバルハム・サリフに指名され、10月に正式に就任しました。彼の指導のもと、イラクはドイツとの経済協力を強化し、電力インフラの改修に大規模な投資が行われる見込みが立ちました。

反政府運動と辞任

しかし、2019年秋に大規模な反政府デモが発生し、数百人の死者が出る事態に発展しました。これにより彼は国民から厳しい批判を浴びることとなり、イスラム教シーア派の指導者からの圧力も影響して、2020年に首相を辞任する意向を示しました。12月に辞任が受理され、その後は新しい政府が形成されるまでの間、その地位を維持しました。

結論

アーディル・アブドゥルマフディーの政治キャリアは、イラクの変革と混乱の歴史の中で重要な局面を彩りました。彼の経験と影響力は、イラクの未来を形作る上で欠かせない要素であり続けています。

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