アートテラー・とに〜

アートテラー・とに～

アートテラー・とに～は、1983年 3月20日に生まれた日本の「アートテラー」です。かつてはお笑い芸人として吉本興業に所属していましたが、現在は日本で唯一無二の存在として、美術の世界を一般の人々に分かりやすく紹介する活動を中心に展開しています。その活動は、美術館での講演や定期的なガイド、アートフェスティバルでのナビゲーター、美術講座の講師、そして独自のアートツアーの企画・運営など、多岐にわたり、美術関係者の間でもそのユニークなアプローチが広く知られています。

人物と経歴

千葉県出身のとに～は、2005年に千葉大学法経済学部法学科を卒業しました。その後、プロのお笑い芸人になることを志し、2006年に吉本興業の養成所であるNSC東京に入校します。同期には渡辺直美などがいました。お笑いの道を歩み始めたのとほぼ同時期、2006年1月には自身のmixi日記上で「とに～の美術展に行こう！」という美術に関する連載を開始しており、これが現在のアートテラーとしての活動の原点となります。

NSC東京の12期生として、2007年にお笑い芸人として正式にデビュー。お笑い活動と並行して、同年2月には美術に関する情報発信を目的としたブログ「とに～の【ここにしかない美術室】」を開設し、美術への関心を深めていきます。大きな転機となったのは、2007年11月に横浜美術館で自主企画として開催した「とに～の美術展へ行こう！ガイドツアー」です。このイベントが予想をはるかに超える参加者を集め、急遽会場がホールに変更されてトークイベントとなるほどの成功を収めました。

「アートテラー」の確立

2008年2月には、この成功を受けて横浜美術館が「とに～の美術館へようこそ！」と題したアートトークイベントを公式イベントとして定期開催することを決定します。この一連の出来事を機に、彼は自身の活動を端的に表す言葉として「アートテラー」という独自の肩書を名乗り始めました。そして同年6月には、お笑い芸人としての活動に終止符を打ち、アートテラーとしての活動に専念することを決断。美術に関するイベント企画やトーク、評論家との対談などを精力的に行い、同年12月には横浜美術館で開催された「セザンヌ展」の関連イベントとしてトークを担当するなど、美術界における独自の立ち位置を確立していきました。

オンラインでの情報発信も積極的に行い、2009年1月にはブログをリニューアル、同年12月には公式ウェブサイトを開設するなど、情報発信のプラットフォームを整備しました。

主な活動内容

アートテラーとして、とに～は多岐にわたる活動を展開しています。美術館や美術展でのイベントでは、横浜美術館、国立新美術館（ルノワール展など）、森美術館（メタボリズム展）、DIC川村記念美術館（現代美術展など）、ホキ美術館、ポーラ美術館（ルノワール展など）といった主要な美術館で、展覧会のテーマに沿った講演、トークイベント、ギャラリートーク、ガイドなどを担当し、来場者に展覧会をより深く楽しむための視点を提供しています。アートフェスティバルにおいても、黄金町バザールやヨコハマ国際映像祭などでガイドを務めました。

美術講座の分野では、2014年から新潮講座の講師を務め、山種美術館や三菱一号館美術館などを貸し切って展覧会を鑑賞解説する特別講座など、ユニークな企画を実施しています。また、日本鳥学会や大阪バードフェスティバルといった学術関連のシンポジウムにも招かれ、鳥類の色彩の進化と芸術との関連について講演するなど、その知見は幅広い分野に及びます。その他、世田谷ものつくり学校や江東区文化コミュニティ財団の講座にも登壇し、美術解説を行っています。

企画ツアーにも力を入れており、2009年からスタートした「大東京お笑い建築ツアー」は、後に「大東京建築ツアー」と改称され、都内の名建築を巡りながら建築の魅力を伝える人気ツアーとなっています。

メディア出演・著作・連載

にと～の活動は多くのメディアで紹介されています。テレビではBS朝日「ごごいち！ニュースキャッチ」、テレビ東京「L4YOU!」、NHK「ニュースシブ５時」などに出演。ラジオではJ-WAVEやTBSラジオ「たまむすび」「こねくと」でレギュラーコーナーを担当するなど、幅広く活躍しています。新聞では朝日新聞の「ひと」欄での紹介や夕刊での美術関連連載「美術を楽しむコツ」、日経新聞での紹介などがあります。雑誌においても、「東京ウォーカー」「月刊「ちくま」（書評）」「芸術新潮」「SPUR」といった多様な媒体に掲載され、美術界における異色の存在として注目されています。

活動の特徴と意義

アートテラー・とに～の活動の最大の魅力は、お笑い芸人時代に培ったエンターテイメント性と、美術に関する深い知識・独自の視点を融合させ、美術鑑賞をより身近で楽しいものにしている点にあります。堅苦しく思われがちな美術の世界を、ユーモアを交えつつ分かりやすく解説することで、これまで美術に馴染みがなかった人々にも興味を持つきっかけを与えています。日本で唯一の「アートテラー」として、彼は美術の世界に新しい風を吹き込み、美術の普及と活性化に貢献しています。その独自のスタイルは、美術界内外から高く評価されています。

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