アーネスト・バージェス

アーネスト・ワトソン・バージェス（Ernest Watson Burgess、1886年5月16日 - 1966年12月27日）は、20世紀前半のアメリカ都市社会学において、多大な影響を与えた人物です。カナダのオンタリオ州で生まれ、キング・フィッシャー大学を卒業後、シカゴ大学大学院で都市社会学を専攻しました。1916年からはシカゴ大学で教鞭をとり、後進の育成に尽力しました。また、アメリカ社会学会の会長も務めるなど、学会の発展にも貢献しました。

バージェスは、ロバート・パークと共にシカゴ学派の人間生態学、都市社会学を牽引し、シカゴ学派の黄金時代を築き上げました。彼の研究は、都市の構造と社会現象の関係性を明らかにする上で重要な役割を果たし、後の都市研究に大きな影響を与えました。また、家族社会学においても重要な業績を残しています。

バージェスの最も著名な業績は、都市の同心円モデルです。このモデルは、都市の成長と構造を説明するもので、都市が中心部から外側に向かって同心円状に拡大していくという考え方を示しています。具体的には、都市は中心商業地区（CBD）を核として、漸移地帯、労働者住宅地帯、住宅地帯、通勤者地帯という5つの同心円状の地域に区分されるとしました。バージェスは、これらの地域がそれぞれ異なる社会経済的特徴を持つことを指摘し、都市の社会構造を理解するための重要な枠組みを提供しました。

バージェスの同心円モデルは、パーク、ロデリック・マッケンジーとの共著『都市（The City）』に収録された論文「都市の発展―調査計画序論」で提示されました。このモデルは、当時のシカゴの都市構造を分析した結果に基づいており、都市の成長と社会変化を理解するための実証的な根拠を提供しました。もっとも、同心円モデルは、その単純さゆえに批判も受けています。現代の都市構造は、自動車の普及や郊外化の進展などによって、より複雑になっているため、同心円モデルだけでは十分な説明ができない場合もあります。しかし、バージェスの同心円モデルは、都市研究における古典的な理論として、今日でも重要な意義を持っています。

バージェスは、パークとの共著『社会学なる科学序説（Introduction to Science of the Sociology）』(1921)において、社会学の基本的な視点を確立しました。この著書は、社会学を科学として確立しようとする試みであり、社会現象を客観的に分析するための方法論を提示しました。バージェスの研究は、都市社会学だけでなく、社会学全体に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

バージェスの主な著作としては、上記の他に、鈴木広 編『都市化の社会学』（誠信書房, 1978年）に「都市の発展」、「調査計画序論」が収録されています。これらの著作を通じて、バージェスの都市社会学に対する貢献をより深く理解することができます。

アーネスト・ワトソン・バージェスは、都市社会学の分野において、その先駆的な研究と教育活動を通じて、多大な貢献を果たしました。彼の業績は、現代の都市研究においても重要な基盤となっており、今後もその影響は続くでしょう。

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