アーネスト・マクミラン

サー・アーネスト・アレクサンダー・キャンベル・マクミラン（Sir Ernest Alexander Campbell MacMillan, 1893年8月18日 - 1973年3月17日）は、カナダの音楽界に多大な貢献をした指揮者です。彼は指揮者としてだけでなく、ピアニスト、オルガニストとしてもその才能を発揮し、幅広い音楽活動を展開しました。特に、その遅めのテンポを好むスタイルから「ラルゴ卿」という愛称で親しまれていました。

マクミランは、カスリーン・パーロウやザラ・ネルソヴァといった著名な音楽家と共にカナダ三重奏団を結成し、室内楽の分野でも重要な役割を果たしました。彼の音楽に対する深い造詣と卓越した演奏技術は、多くの人々に感銘を与え、カナダの音楽文化の発展に大きく貢献しました。

経歴

マクミランはオンタリオ州ミミコで牧師の家庭に生まれ、幼い頃からその音楽的才能を発揮しました。神童として知られ、10歳でオルガンのリサイタルを開くほどの腕前でした。その後、エディンバラでアルフレッド・ホリンズに師事し、音楽の研鑽を積みました。1907年には、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オヴ・オルガニスツの準会員となり、1911年にはフェローの資格を取得するなど、早くからその才能が認められていました。

1911年から1914年まではトロント大学で現代史を学びながら、トロントのノックス教会のオルガニストを務めました。しかし、1914年にパリへ留学しピアノを学んでいたところ、第一次世界大戦が勃発。バイロイト音楽祭を訪れた際に、ベルリン近郊のルーレーベン収容所に送られるという不運に見舞われます。しかし、彼はこの収容所内で自作のレヴューや有名なオペレッタの上演を監督することで、指揮者としての能力を磨きました。1918年には、収容所内で書かれた作品が音楽博士号取得申請作品としてオックスフォード大学に提出され、学位を授与されました。

戦後、1919年から1925年までトロントのティモシー・イートン・メモリアル教会のオルガニストと聖歌隊長を務めました。この間、1923年にはヒーリー・ウィランやリチャード・タターソールらと共にバッハの《マタイ受難曲》の演奏会を企画し、トロントの音楽シーズンにおける重要なイベントとして定着させました。また、1920年からはカナダ音楽アカデミーの教授陣に加わり、同アカデミーがトロント音楽院と合併した後も、後進の指導に尽力しました。

1931年、マクミランはトロント交響楽団の首席指揮者に就任します。彼は、それまでパートタイム雇用の寄せ集め的な存在であったオーケストラを、プロフェッショナルな組織へと変貌させました。彼の指導の下、トロント交響楽団は飛躍的な成長を遂げ、1956年にはアメリカ演奏旅行を実現させるなど、国際的な評価を高めました。1942年から1957年までは、トロント・メンデルスゾーン合唱団の合唱指揮者も務め、1945年にはオーストラリア、翌年にはブラジルへと渡り、各地のオーケストラに客演するなど、その活動は多岐にわたりました。

こうした一連の音楽活動の功績が認められ、1935年にはイギリスからナイトの称号を授与されました。サー・アーネスト・マクミランは、1973年にトロントで亡くなりましたが、彼の音楽に対する情熱と才能は、今もなお多くの人々に感銘を与え続けています。

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