アーノルド・シュワルツェネッガーの鋼鉄の男

アーノルド・シュワルツェネッガーの鋼鉄の男

『アーノルド・シュワルツェネッガーの鋼鉄の男』、通称『パンピング・アイアン』は、1977年に公開されたアメリカのドキュメンタリー映画です。本作は、1974年の同名著作を基にしていますが、特に1975年に南アフリカ・プレトリアで開催されたミスターユニバース及びミスター・オリンピア大会に焦点を当て、当時の有名なボディビルダーたちの姿を追っています。特にアーノルド・シュワルツェネッガーを中心とし、ルー・フェリグノやフランコ・コロンボなどが登場し、彼らの私生活やトレーニング方法をはじめ、プロのボディビルダーとしての苦労や努力が生々しく描かれています。

この映画が公開されると、ボディビルディングの世界は一時に脚光を浴びることとなり、ボディビルの価値が見直されます。かつては社会的に低い地位にあったボディビルダーたちは、その技術や身体能力が認められ、アメリカ全土でフィットネスブームが勃興しました。この流れの中で、特に舞台として登場するゴールドジムの名も広まり、多くの人々がフィットネスに関心を持つようになりました。

映画のストーリーは、主にミスター・オリンピア選手権を控えた選手たちの日常に密着する形で展開します。トレーニングに励む姿はもちろん、選手のバックグラウンドや人間関係も紹介され、観る者に強い感情移入を促します。

その後2003年には25周年を記念してDVD版が発売され、当初カットされたシーンや新たなインタビューも追加されました。その中では、一部のシーンで演出が行われていたことや、シュワルツェネッガーが当時、ステロイドや大麻を使用していたという衝撃の告白もありました。この告白は彼が政治家として活動する中、問題視されることとなりました。

映画の制作には、監督のジョージ・バトラーやロバート・フィオレ、脚本のジョージ・バトラーとチャールズ・ゲインズなどが関わっています。また、音楽はマイケル・スモールによって手がけられています。

『鋼鉄の男』は、ただのスポーツドキュメンタリーとしてだけではなく、シュワルツェネッガーをはじめとする選手たちに新たなキャリアをもたらすことになりました。フェリグノはその後、『超人ハルク』でハルク役として映画界に進出し、コロンボも『コナン・ザ・グレート』や『ターミネーター』に出演することになります。シュワルツェネッガー自身もこの作品を経て再び俳優として活躍する機会を得て、1982年の『コナン・ザ・グレート』に出演し、その後『ターミネーター』で大成功を収めることになります。

シュワルツェネッガーは、1975年の大会を最後にボディビルの競技から一旦引退しますが、後にこの映画の権利を買い取ることに至ります。彼自身の人生やキャリアの転機をもたらしたこの作品は、ボディビルとフィットネス業界にとっても革命的な影響を持ったと言えるでしょう。

このように、『アーノルド・シュワルツェネッガーの鋼鉄の男』は、単なる映画以上の意味を持ち、映像を通じてボディビルの魅力や選手たちの真剣な姿を広める重要な役割を果たしました。

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