アーリントンパーク競馬場

アーリントンパーク競馬場：シカゴ近郊の競馬史に輝く名場

イリノイ州アーリントンハイツにあったアーリントンパーク競馬場は、シカゴという大都市の近郊、さらにオヘア国際空港にも近いというアクセスの良さから、多くの競馬ファンや観光客で賑わう場所でした。1927年の開業以来、本場アメリカ競馬の発展に大きく貢献した、歴史的な競馬場と言えるでしょう。

革新技術と伝統の融合

アーリントンパーク競馬場は、常に最新の技術を取り入れることで知られていました。電子式オッズ掲示板や拡声器を使った実況中継、写真判定カメラ、そしてゲート式発馬機など、数々の最新設備をいち早く導入。これらの革新的な取り組みは、競馬の観戦体験を大きく向上させ、多くのファンを魅了しました。

特に1981年に創設された「バドワイザーミリオンステークス」（現在のアーリントンミリオンステークス）は、世界で初めて100万ドル規模の賞金をかけた競走として、競馬界に大きな衝撃を与えました。この競走は、アーリントンパーク競馬場の高いステータスを示すものとなりました。

幾多の困難を乗り越えて

1985年には、メインスタンドとクラブハウスを全焼させる大規模な火災に見舞われました。しかし、競馬場関係者の努力により見事に再建され、新たなスタンドは高い評価を受けました。

その後も、競馬人気の低迷や経営上の問題から、所有者が幾度となく変わり、1998年から1999年にかけては一時的に閉鎖を余儀なくされました。しかし、チャーチルダウンズ社が所有者となり、2000年に再開。2002年には、世界最高峰の競馬イベントであるブリーダーズカップの開催地にも選ばれ、その地位を不動のものとしました。

閉鎖と新たな未来

2021年、チャーチルダウンズ社による売却が発表されると、再開発による廃止の可能性が報道され、多くの競馬ファンに衝撃が走りました。そして同年7月30日、同年9月25日をもって閉鎖されることが正式に決定。長きに渡る歴史に幕を閉じました。

閉鎖後、326エーカーに及ぶ広大な敷地は、NFLシカゴ・ベアーズに売却されました。アーリントンパーク競馬場の歴史は終わりを告げましたが、その跡地は新たな発展を遂げることでしょう。

コースの特徴

アーリントンパーク競馬場のコースは、楕円形の左回りで、直線は約313.3メートルでした。2007年には、ダートコースに全天候型馬場用素材を導入するなど、馬場状態の改善にも積極的に取り組んでいました。

ダートコース（外周）：1マイル1ハロン（約1800メートル）
芝コース（内周）：7 1/2ハロン（約1508メートル）

主要競走

アーリントンパーク競馬場では、数多くの重要な競走が開催されてきました。G1競走であるアーリントンミリオンステークスを始め、G2、G3競走など、多くのグレード競走が開催され、世界中の名馬たちがその地で競演しました。また、阪神競馬場とは姉妹提携関係にあり、アーリントンカップなど、交流競走も盛んに行われていました。

アーリントンパーク競馬場は、その歴史と伝統、そして革新的な取り組みによって、アメリカ競馬史に燦然と輝く名場でした。その閉鎖は、多くの競馬ファンにとって大きな損失ですが、その歴史はこれからも語り継がれていくことでしょう。

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