アーロン・プライヤー

アーロン・プライヤー - ボクシングの伝説

アーロン・プライヤー（Aaron Pryor、1955年10月20日 - 2016年10月9日）は、アメリカの元プロボクサーであり、オハイオ州シンシナティの出身です。彼はWBAおよびIBF世界スーパーライト級王者として名を馳せ、プロボクシング界において特異な存在感を放ちました。プライヤーは、36戦無敗という驚異的なスタートを切り、そのうち26試合をKOで決めるという圧倒的な記録を有しています。現役時代には「シンシナティの荒鷲」や「ビースト」といった異名で親しまれました。また、彼の息子もボクサーとしてプロの道を歩んでいます。引退後は、バプティスト教会で助祭を務めるなど、ボクシング以外の新たな人生を築き上げました。

来歴 - アマチュア時代からプロへ

プライヤーのボクシングキャリアは、そのアマチュア時代に始まりました。1974年にはナショナルゴールデングローブにライト級で出場し、準決勝で敗れたものの、翌年には優勝を果たします。1976年次の大会では、当時のボクシング界のスター、トーマス・ハーンズに勝利を収めるという偉業を成し遂げます。同年、モントリオールオリンピックの選考でハワード・デイビス・ジュニアに敗れたものの、204勝16敗の戦績を残してプロに転向します。

1976年11月12日には4RKO勝ちでプロデビュー。以降ライト級で連勝を重ね、1980年にはWBA世界スーパーライト級王座を獲得します。この当時の彼は、様々なビッグマッチへの挑戦があり、ロベルト・デュランやシュガー・レイ・レナードとの対戦にも名を挙げていましたが、契約の関係で試合が流れることもありました。プライヤーは、1981年から82年にかけて引退に関する騒動があったものの、選手としての地位を保ち続けました。

ブラックボトル事件とその後

1982年11月にはアレクシス・アルゲリョとの試合が行われ、試合は大きな盛り上がりを見せました。プライヤーは逆転勝利を収めたものの、試合後にトレーナーが行った行動が大きな論争を巻き起こしました。この事件は、「ブラックボトル事件」として知られ、プライヤーのキャリアに影を落としました。

その後、1983年にはIBFの初代世界スーパーライト級王者に認定されるも、プライヤーは不正疑惑の影響で新たなトレーナーを迎え入れることを余儀なくされました。彼は1983年にアルゲリョと再戦し、再び勝利を果たしたものの、王座を剥奪されることとなります。

1984年からは復帰を果たすものの、健康状態が悪化し、麻薬依存症との戦いに苦しむようになります。1986年には様々なトラブルに見舞われた後、約2年後に復帰しますが、最終的には引退を余儀なくされます。1990年には手術を経てボクシングのライセンスを取得し、試合を行うものの、最終的には2016年に心臓病によりこの世を去りました。

プライヤーの足跡

アーロン・プライヤーのボクシングキャリアは多くの栄光だけでなく、困難も伴いました。彼は獲得したタイトルを持ちながらも、世間的には決して華やかな生活が送れなかったようです。人生の後半には麻薬との闘いや二度の逮捕も経験しましたが、それでも彼は自身の過去を受け入れ、教会で新たな使命を見つけることで再生を図りました。アーロン・プライヤーの物語は、ボクシングの世界での華々しい業績だけではなく、彼の人間的な部分にも光を当てるものです。

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