イアン・G・マッケイ

イアン・ジェラルド・マッケイ

イアン・ジェラルド・マッケイ氏は、1963年にカナダで生まれ、実業界と政治の世界で多岐にわたる活躍を見せてきたエグゼクティブです。特に、投資誘致機関であるインベスト・イン・カナダの最高経営責任者（CEO）を務めた後、2021年4月15日付で在日カナダ大使に任命されました。また、カナダ首相の特使として環太平洋パートナーシップ協定（TPP）の最終交渉を成立に導いた功績でも知られています。

生い立ちと日本との繋がり

マッケイ氏は、ブリティッシュコロンビア州カムループスに5人兄弟の末っ子として誕生し、同州ペンティクトンで育ちました。彼の日本との長きにわたる関わりは、1980年7月、16歳の夏に始まります。地元から北海道池田町への青少年交流プログラムに参加し、ホームステイを経験したのです。この時の滞在は、彼にとって日本という国と日本語への深い理解を育む貴重な機会となりました。1981年にペンティクトン中等教育学校を卒業した後、ロータリー青少年交換プログラムで再び日本へ渡航。学生時代を含め、実に14年間にわたり日本に居住し、様々な経験を積みました。学業では、ビクトリア大学とブリティッシュコロンビア大学で政治学とアジア学を専攻。その後、2005年にはオンタリオ州キングストンのクイーンズ大学で経営学修士号（MBA）を取得しています。

国際的な実業家としての歩み

大学卒業後、マッケイ氏は実業の世界に足を踏み入れます。1987年、ニューヨークにあるユーロブローカーズ・インベストメントに入社し、デリバティブブローカーとしてのキャリアをスタートさせました。1994年には、東京支社へ転勤し、業務責任者を務めることになります。さらに1998年にはロンドンへ異動し、ユーロブローカーズ・インターナショナルの共同業務責任者という重要なポストに就きました。その後、2006年から2009年にかけては、ICAPキャピタルマーケット（カナダ）にてビジネス開発責任者として、バンクーバーやカルガリーのエネルギー市場で活躍しました。ニューヨーク、東京、ロンドン、そしてバンクーバーと、実に18年間にわたり世界の主要都市で金融業界に携わった経験は、彼のその後のキャリアの礎となります。

政治・公共分野での貢献

国際的な金融マンとして成功を収めた後、マッケイ氏はカナダの政治・公共分野へと活動の場を広げます。オタワで、3名の連邦閣僚のもとで上級政策顧問を務め、政策立案に深く関わりました。また、2010年3月から2013年5月までの期間、カナダ自由党の国内責任者として党運営に貢献しました。オタワでの任期を終えバンクーバーに戻った後、彼は2013年から2018年までの5年間、バンクーバー市の経済発展を担う重要な機関であるバンクーバー経済委員会の最高経営責任者（CEO）を務め、都市の活性化に尽力しました。これらの多様な経験が、現在の駐日大使としての役割に活かされています。

特に注目すべきは、環太平洋パートナーシップ協定（TPP）の最終交渉における彼の役割です。カナダ首相の特使として交渉チームに加わり、合意形成に向けた重要な貢献を果たしたことは、彼の外交手腕と国際交渉における影響力を示す事例と言えるでしょう。

イアン・マッケイ氏のキャリアは、金融、政府、政治、都市開発という幅広い分野に及び、それぞれの分野で指導的な役割を果たしてきました。若くして経験した日本での長期滞在が、その後の国際的な活動や現在の駐日大使としての役割に大きな影響を与えていることは間違いありません。

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