イェリサヴェータ・カラジョルジェヴィチ

イェリサヴェータ・カラジョルジェヴィチ：激動の生涯とセルビア大統領選への挑戦

イェリサヴェータ・カラジョルジェヴィチ（Јелисавета Карађорђевић, 1936年4月7日 - ）は、旧ユーゴスラビア王国の王族として生まれました。彼女は、同国最後の王であるペータル2世の又従妹にあたり、ユーゴスラビア王女の称号を有しています。2004年にはセルビア大統領選挙に立候補し、その動向が注目を集めました。

生い立ちと亡命生活

イェリサヴェータは、ユーゴスラビア王国摂政宮であったパヴレ王子と、その妻であるギリシャ王女オルガの間に長女として誕生しました。第二次世界大戦中、父パヴレ王子がペータル2世によって摂政の地位を追われたため、イェリサヴェータとその家族はイギリス領ケニアに幽閉されるという苦難を経験しました。

母親を通じてイギリス王室との親戚関係が深く、ケント公エドワードやチャールズ3世など、イギリス王室のメンバーと親しい関係にありました。

結婚と離婚

イェリサヴェータは、これまでに3度の結婚と離婚を経験しています。1961年にアメリカ合衆国の服飾業経営者ハワード・オクセンバーグと結婚し、二人の娘をもうけました。長女のキャサリン・オクセンバーグは女優として活躍し、俳優のキャスパー・ヴァン・ディーンと結婚しています。1966年にオクセンバーグと離婚後、1969年にイギリスの銀行家ニール・バルフォアと再婚し、息子を一人もうけましたが、1978年にバルフォアとも離婚しました。その後、俳優リチャード・バートンとの結婚も噂されました。

1987年には、ペルーの元首相マヌエル・ウロアと三度目の結婚をしましたが、1992年にウロアとも離婚しています。

セルビア大統領選への出馬

2004年、イェリサヴェータはセルビア大統領選挙に立候補しました。この時、元王家の者が国政に関わるべきではないという家長のアレクサンダル元皇太子の反対を押し切っての出馬でした。しかし、選挙の結果、彼女の得票数は6万票余り、得票率は2.1%にとどまり、第6位という結果に終わりました。この選挙では、セルビア民主党党首のボリス・タディッチが大統領に選出されました。

現在

現在、イェリサヴェータは元王族の帰国が許可されたセルビアに帰国し、ベオグラードで生活しています。彼女はセルビア語のほか、英語、フランス語、スペイン語、イタリア語の5カ国語を操り、イギリス、アメリカ合衆国、セルビアの市民権を有しています。

激動の時代を生き、波乱万丈な人生を送ってきたイェリサヴェータ・カラジョルジェヴィチ。彼女の生涯は、20世紀のヨーロッパ史を映し出す鏡とも言えるでしょう。

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