イエニカレ

イエニカレ要塞

イエニカレは、クリミア半島のケルチ海峡沿岸に位置する要塞で、歴史的に重要な地域に存在しています。その名はトルコ語で「新しい城」を意味し、オスマン・トルコ人によって１６９９年から１７０６年にかけて建設されました。要塞は、元々クリミア・ハン国の一部であり、その戦略的な立地から重要な役割を果たしてきました。

歴史的背景

イエニカレの建設には、特にイスラム教に改宗したイタリア人のゴロッポという人物が深く関与しており、彼の指導の下で要塞が形作られました。また、数名のフランス人技術者も工事に参加し、その設計と建設に貢献しました。この要塞は、約25,000平方メートルの領域を占有し、強力な大砲を装備していました。

要塞内には、火薬倉庫、武器庫、貯水池、住居、公衆浴場、そしてモスクなどの施設が存在していました。イエニカレは、約800人のトルコ兵士と300人のクリミア・タタール人兵士によって守られており、当時の軍事的な拠点としての機能を果たしていました。しかし、要塞の大きな課題は、限られた飲料水の供給だったため、近隣の水源から水を引くための地下水脈が造成されました。

露土戦争の影響

1768年から1774年にかけてはロシア帝国とオスマン帝国の間で露土戦争が勃発しました。この戦争の真っただ中で、1771年にはロシア軍がクリミア半島に侵攻しました。当時、トルコ軍は要塞に留まることを急きょ決定し、ロシア軍に攻撃されることとなります。ニコライ・ボルゾフ将軍の指導のもと、ロシア軍は1771年7月21日にイエニカレに攻撃を仕掛けました。この時、要塞の司令官であったアバザ・モハメド・パシャは逃亡し、その後オスマン帝国から死刑宣告を受けることとなります。

要塞の運命

1774年には、ブルガリア北部のカイナルジャで締結されたキュチュク・カイナルジ条約により、イエニカレはロシアに割譲されました。これにより、要塞はタヴリダ県の地方自治体、ケルチ＝イエニカレの一部となり、その歴史に新たな章が加わります。

19世紀に入ると、イエニカレはロシアにより軍病院として活用されましたが、1880年代には完全に放棄されることになります。現在では、イエニカレの遺構は観光地として多くの旅行者に訪れられており、地域の歴史を物語る重要な名所の一つとなっています。

現在のイエニカレ

今日のイエニカレは、歴史的な遺跡として多くの観光客に愛されています。この要塞周辺の地区も「イエニカレ」と名付けられており、地域の知名度を高めているのです。訪れる人々は、過去の栄光と同時に、イエニカレが刻んできた歴史の重みを実感しながら、その景観を楽しんでいます。

ギャラリー

要塞の各所を撮影した写真や観光客の様子などのギャラリーも設置されており、訪れる価値がある場所と言えるでしょう。歴史と文化が交差するこの地に、多くの人々が魅了され続けています。

もう一度検索