イエンスージー

塩酥鶏（イエンスージー）: 台湾夜市を代表する人気グルメ

台湾の夜市を訪れたことがある人なら、誰もがその魅力的な香りに誘われたことがあるのではないでしょうか。塩酥鶏（イエンスージー、またはシエンスージー）は、そんな夜市でひときわ人気を誇る、台湾を代表するB級グルメです。日本では「台湾唐揚げ」や「台湾フライドチキン」と呼ばれることもありますが、その味わいは、一般的な唐揚げとは一線を画すものです。

名前の由来は、中国語で「塩（塩または鹹）」「酥（サクサクとした食感）」「鶏（鶏肉）」を意味する言葉からきています。その名の通り、サクサクとした衣と、ジューシーな鶏肉の絶妙なバランスが特徴です。

その起源は1970年代の台南市と言われています。屋台から始まったこの料理は、瞬く間に台湾全土に広がり、今ではどの夜市でも見かけることができるほどポピュラーな存在となりました。しかし、レストランなどで提供されることはほとんどなく、夜市や屋台の定番メニューとして親しまれています。

塩酥鶏とよく比較される料理に「鶏排（ジーパイ）」があります。どちらも「台湾唐揚げ」と呼ばれることがあるため、混同されがちですが、塩酥鶏は鶏排よりも食べやすいサイズにカットされている点が大きな違いです。鶏排が一枚の大きな唐揚げであるのに対し、塩酥鶏は食べやすい大きさにカットされた一口サイズの唐揚げで、様々な食材と組み合わせて楽しめるのが特徴です。

塩酥鶏の魅力は、その多様な食材にあります。鶏肉だけでも、鶏皮や砂肝など、部位を選ぶことができます。さらに、ベビーコーンやインゲン、サツマイモといった野菜から、キノコ類、豆腐、練り物、ピータン、ウインナーなど、実に幅広い食材が用意されています。店によっては、20種類から30種類、多いところでは50種類以上の食材から選ぶことができるため、自分だけのオリジナル塩酥鶏を楽しむことができます。

このサクサクとした食感を生み出しているのは、衣に使われているタピオカ粉です。小麦粉ではなくタピオカ粉を使用することで、鶏排と同様に独特の軽くてサクサクとした食感が実現しています。

塩酥鶏は、台湾の食文化を象徴する料理の一つと言えるでしょう。その手軽さと、多様な食材の組み合わせから生まれる無限のバリエーションは、人々を魅了し続けています。最近では、塩酥鶏をイメージしたスナック菓子も販売されており、その人気はますます高まっていると言えるでしょう。夜市を訪れた際には、ぜひ一度、自分好みの塩酥鶏を見つけて、その魅力を味わってみてください。

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