イカにもスミにも

1987年4月7日から1991年3月19日まで、毎日放送（MBSテレビ）で放送されたトークバラエティ番組『イカにもスミにも』。火曜の深夜23時50分から25時15分までの枠で放送され、当時毎日放送アナウンサーだった角淳一氏と、関西を代表するお笑いタレントたちが織りなす軽妙なトークが人気を呼びました。

番組は、政治、経済、スポーツ、芸能など、幅広い話題をリラックスした雰囲気で語り合うスタイルが特徴でした。出演者たちが自由に意見交換し、時に深刻な話題にもユーモラスな切り口で触れることで、深夜の時間帯ながらも多くの視聴者を引きつけました。出演者たちの個性が際立ち、それぞれの持ち味が活かされたトークは、番組を独特の雰囲気で彩っていました。

番組の大きな特徴として、各出演者の席に置かれた白黒2色のイカの人形が挙げられます。出演者は、本音を語る際には黒いイカ人形を、建前を語る際には白いイカ人形を手に取るという演出がされていました。さらに、怒りや強い感情を表す際に使う赤いイカ人形も登場し、番組に独特の面白さを加えました。このイカの人形は、番組の象徴的な存在となり、視聴者の記憶にも強く残っています。

出演者は、メインの司会を務めた角淳一アナウンサーに加え、浜村淳氏、横山ノック氏、上岡龍太郎氏、桂文珍氏、月亭八方氏、景山民夫氏、中島らも氏、大島渚氏など、関西を代表する実力派のタレントが名を連ねました。それぞれの持ち味を生かしたトークは、番組をより魅力的なものにし、視聴者を楽しませました。多様な分野の第一人者たちが集結したことで、話題の幅も広く、多角的な視点からの議論が展開されたのも番組の魅力でした。

『イカにもスミにも』は、単なるトークバラエティ番組にとどまらず、社会問題や時事問題にも切り込むことで、視聴者に考えさせる機会を提供する役割も担っていました。軽妙なトークの中に、鋭い視点や深い洞察が織り込まれ、視聴者はエンターテインメント性だけでなく、知的な刺激も得ることができました。

この番組の路線は、1999年に毎日放送でスタートした午後の情報ワイド番組『ちちんぷいぷい』へと引き継がれているとされています。『ちちんぷいぷい』も、関西の視聴者から長く愛された番組であり、『イカにもスミにも』が築き上げた土台が、後番組にも大きな影響を与えたことがうかがえます。

『イカにもスミにも』は、その自由なトークと個性豊かな出演者たちによって、多くの視聴者に愛された番組でした。深夜番組でありながら、社会への鋭い視点とエンターテインメント性を両立させた点は高く評価され、日本のテレビ史においても重要な位置を占める番組の一つと言えるでしょう。番組が終了してからも、その独特の雰囲気や出演者たちの名場面は、多くの視聴者の記憶に鮮やかに残っています。

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