イカルド・テンタクルズ

イカルド・テンタクルズ：皮肉屋なタコの魅力

イカルド・テンタクルズは、アニメ「スポンジ・ボブ」に登場する主要キャラクターの一人です。彼は名前はイカルドですが、実際にはタコであり、そのことがしばしば周囲を混乱させます。もともとの名前は「オクトワード」でしたが、「スクイドワード」に変更されました。これは、彼の名前がイカを意味する「Squid」と「エドワード」を組み合わせたものだからです。

概要

イカルドは、海洋生物学者でありアニメーターでもあるステファン・ヒレンバーグによってデザインされました。彼は1999年5月1日に放送されたシリーズのパイロット版で初登場しました。スポンジ・ボブのアニメでは、主人公のスポンジ・ボブに次いで、パトリックと同等の出演回数を誇り、公式には「パトリックに次ぐ3番目の準主人公」と位置付けられています。評論家やファンからの評価も高く、多くの関連グッズや出版物に登場しています。また、2004年と2015年の長編映画にも出演しています。

さらに、2019年11月には、イカルドを主人公としたスピンオフ作品が、ネットフリックスとニコロデオンの共同制作で発表されました。このことは、イカルドが単なる脇役ではなく、独立した魅力を備えたキャラクターであることを示しています。

役割と特徴

イカルドは、冷たくて傲慢な青緑色のタコとして描かれています。彼は、スポンジ・ボブとパトリックの家の間にあるモアイ像型の家に住んでおり、1977年10月9日生まれという設定です。日本語版では、彼は年寄りとして扱われ、一人称は「わし」で、「〜じゃ」といった古風な口調で話します。一方で、スポンジ・ボブとパトリックを「お前」「お前さん」と呼び、カーニやプランクトンに対しては「あんた」と呼ぶなど、相手によって言葉遣いを使い分けています。

イカルドは、スポンジ・ボブとパトリックの騒々しい行動に日々悩まされています。タコらしく墨を吐くこともあり、足が絡まることもあります。大きくて垂れ下がった鼻が特徴で、笑うと鼻が伸び縮みします。彼は自分の鼻が大きいことや、髪の毛がないことを気にしています。カーニバーガーを嫌っていたものの、初めて食べた際にその美味しさに感動し、大量に食べてお腹を壊したエピソードもあります。普段はシャツを着ていることが多いですが、寝るときは寝間着を着ています。

スポンジ・ボブとの関係

イカルドは、スポンジ・ボブの隣人で仕事仲間でもあります。彼はスポンジ・ボブとパトリックを煙たがっていますが、彼らはイカルドを友人と思っています。作中では、イカルドが最もひどい目に遭うことが多く、特にスポンジ・ボブとパトリックによって日常生活を邪魔されたり、家を壊されたりします。ただし、イカルドが彼らを騙したせいで酷い目に遭うこともあります。

彼は不幸な過去を持ち、幸せな思い出が一つもなかったというエピソードもあります。スポンジ・ボブはイカルドを助けようとしますが、結果的にイカルドはさらに酷い目に遭ってしまいます。また、イカルドがハンサムになったエピソードでは、スポンジ・ボブのせいで顔の骨格が変わり、一時的にハンサムになったことがあります。初期のエピソードでは、スポンジ・ボブのことを「スポンジのボブ」と呼んでいましたが、後に「スポンジ・ボブ」と呼ぶようになり、スポンジ・ボブが泣いた際には「ボブ...」と慰めたこともあります。心の中ではスポンジ・ボブのことを「可愛げのない田舎っぺ」と思っていますが、スポンジ・ボブもイカルドのことを「骨なしのグニャグニャの墨まみれデカッ鼻男」と思っているなど、お互いに内心では反発し合っている描写もあります。

趣味と芸術への情熱

イカルドは芸術鑑賞が好きで、自身も絵を描いたり、クラリネットを演奏したりすることを好みます。クラリネットに関してはプロになることを夢見ており、そのための資金を稼ぐためにカニカーニで働いています。彼はしばしば個展やコンサートを開きますが、才能はあまりなく、周囲からの評価も芳しくありません。しかし、稀に彼のクラリネットの演奏がコンサートホールで公演され、大成功を収めるエピソードもあります。彼は自分が天才で、周囲が自分の才能を理解していないだけだと信じています。部屋に自画像が溢れるほど絵を描くことを楽しんでおり、その数は483枚以上にもなると言われています。自分の絵には自信がありすぎるため、博物館に飾って欲しいと頼み込むこともあります。彼は、ミュージシャンや画家として成功することを夢見ており、クラリネットを家族のように大切にしています。

しかし、雪合戦に夢中になった際には、クラリネットを雪玉にして投げつけたり、クラゲの騒音に腹を立てた際には、クラリネットをスポンジ・ボブに渡してしまうなど、時折、大切なクラリネットをぞんざいに扱う一面も見られます。また、スポンジ・ボブの演奏や絵が自分よりも上手いと、異常なほどのライバル心を抱いてしまいます。

カニカーニでの仕事と経歴

イカルドは「カニカーニ」でレジ係とウェイターの仕事をしています。スポンジ・ボブの仕事仲間でもありますが、仕事に対する意欲は低く、サボったり居眠りしたりすることが多いため、カーニから給料を減らされています。カニカーニへ行く際には徒歩が多いですが、背もたれ付きの自転車に乗っていることもあります。彼は一度、自転車を売却してボートを購入しましたが、交通違反で教習所に通うことになり、結局再び自転車を購入しています。また、自転車に乗っている時に事故に遭い、セメントまみれになり、スポンジ・ボブに「スメリー」と名付けられて世話をされたエピソードもあります。プランクトンのガスによって赤ちゃんになったこともあります。劇場版では、スポンジ・ボブたちが王冠を取り返す運動に真っ先に拒否をしています。子供の頃は学校で友達が少なく、一人で昼食を食べていた過去を持ち、最終学歴はコミュニティカレッジで芸術を学んでいます。また、ナッツアレルギー、高所恐怖症、閉所恐怖症という設定です。

性格と人間関係

イカルドは常に不機嫌で毒舌家で、スポンジ・ボブとパトリックをうっとうしがっています。ナルシストで、自分以外の意見を聞き入れません。彼は、自分を邪魔するものを嫌い、気難しい性格をしています。基本的には常識人ですが、スポンジ・ボブたちのペースに巻き込まれると、激しく対抗します。時には、自らトラブルメーカーになることもあります。逮捕歴も多く、スポンジ・ボブのことを嫌っている一方で、彼の死を悲しんだり、カーニに怒ったりするなど、内心では悪く思っていないようです。彼は、スポンジ・ボブやライバルのイカリムを嫌っており、自分を賢く、彼らを愚かだと見下すことがあります。ただし、スポンジ・ボブと協力することもあります。また、蜘蛛が大嫌いで、好きな食べ物は缶詰パンです。ズル賢い一面もあり、スポンジ・ボブたちを騙すこともあります。一方で、優しい一面を見せることもあり、スポンジ・ボブを喜ばせるためにサンタクロースに扮したこともあります。

開発と声

イカルドは、ステファン・ヒレンバーグによってデザインされ、大きな頭を持つタコとして描かれています。彼の足は、アニメーションの都合上、6本にされています。声優はロジャー・バンパスが担当しており、彼の独特な声は、イカルドの皮肉っぽさや欲求不満を巧みに表現しています。バンパスは、イカルドを「鼻にかかった単調な人」と評しつつ、彼の皮肉や癇癪が面白く、演じがいがあると言っています。イカルドの声は、ジャック・ベニーの声に似ていると指摘されることもありますが、バンパス自身はそれを否定しています。

ライバル：イカリム・ファーシソン

イカルドの高校時代のライバルであるイカリムは、金持ちで成功しているため、イカルドから深く恨まれています。イカリムは、イカルドが失敗したこと全てに成功しており、イカルドを見下しています。イカリムは、プライベートヨットやプライベートレイクなどを所有する大富豪で、眉毛のオブジェを飾っています。イカリムもタコで、6本の足を持ち、赤と黒のローブを着ています。彼は傲慢でサディスティックな性格で、イカルドを下に見ることを楽しんでいます。イカリムは、これまでに6つのエピソードに登場しており、イカルドのライバルとして重要な役割を担っています。

評価とメディア展開

イカルドは、評論家やファンから好評を得ています。多くの人が彼を、スポンジ・ボブの騒動に巻き込まれる常識人として共感しています。イカルドに焦点を当てたエピソード「イカルド楽団」は、番組の最高のエピソードの一つとされています。一方で、イカルドは利己主義から、テレビの最悪のロールモデルに選ばれたこともあります。声優のロジャー・バンパスは、2012年にデイタイム・エミー賞にノミネートされました。イカルドは、多くのスポンジ・ボブ関連商品に使用されており、映画やミュージカルにも出演しています。特にミュージカルでは、イカルド役の俳優が絶賛されています。

イカルドは、複雑な内面を持ちながらも、どこか憎めない魅力的なキャラクターです。彼の皮肉やユーモアは、子供から大人まで幅広い層に愛されています。彼の存在は、スポンジ・ボブの世界をより豊かなものにしていると言えるでしょう。

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