イキのいい奴

イキのいい奴：昭和の寿司職人ドラマが描く人間模様

1987年、NHK総合テレビで放送された『イキのいい奴』は、戦後間もない東京・柳橋の寿司屋を舞台にした人気ドラマです。平均視聴率22.3％を記録し、翌年には続編『続・イキのいい奴』も平均視聴率22.8％という高い数字を残しました。師岡幸夫のエッセイ「神田鶴八鮨ばなし」を原作に、寺内小春による脚本は第5回向田邦子賞を受賞するなど、高い評価を得ています。

ストーリー：職人気質と人間模様

主人公は、頑固一徹ながら義理人情に厚い寿司職人・兵藤晋作（小林薫）。彼の元へ弟子入りする旧制中学を中退した青年・平山安男（金山一彦）の成長物語が中心です。ぶつかり合いながらも、師弟関係を通して絆を深めていく様子が丁寧に描かれています。

物語は、職人気質だけでなく、周囲の人々の様々な人間模様も織り交ぜて展開します。芸者・豆奴（藤奈津子）、近所の仕立屋とその妻（若山富三郎、松尾嘉代）、安男に好意を寄せる針子（松本典子）、晋作の息子（谷口誠）など、個性豊かな登場人物たちが物語を彩ります。彼らの生活や人間関係を通して、戦後復興期の社会情勢や人々の生き様も垣間見ることができます。

キャスト：豪華俳優陣が脇を固める

主人公の小林薫、金山一彦以外にも、若山富三郎、松尾嘉代、花沢徳衛、かたせ梨乃など、ベテラン俳優から若手俳優まで実力派の俳優陣が多数出演しています。それぞれのキャラクターが深く作り込まれており、視聴者の感情を揺さぶる演技を見せています。

特に、小林薫と金山一彦の演技は圧巻で、師弟関係の葛藤や成長をリアルに表現しています。脇を固める俳優陣も、それぞれの役どころを完璧に演じきっており、作品全体のクオリティを高めています。

続編『続・イキのいい奴』：独立と新たな出会い

1988年に放送された続編『続・イキのいい奴』では、安男が独立して自身の寿司屋「幸鮨」を開くまでの物語が描かれています。前作で培った経験を活かし、自立していく安男の姿が印象的です。

続編では、ヒロインとして石田えり演じる加納道子が登場します。彼女は女性雑誌社勤務で、鮨の取材を通して晋作と知り合います。強い意志を持つ女性であり、晋作とは時に衝突しながらも、やがて結婚に至ります。また、新弟子として益岡徹演じる中岡謙助が登場し、安男との交流を通して物語に新たな活力を与えています。

作品の魅力：時代と人間の普遍性

『イキのいい奴』シリーズは、単なる寿司職人ドラマにとどまらず、時代を超えて普遍的な人間のドラマを描いています。師弟関係、恋愛、家族、友情など、様々な人間関係を通して、喜びや悲しみ、葛藤や成長といった感情が丁寧に描かれています。

また、戦後復興期の東京の下町を舞台としている点も魅力の一つです。時代背景や風俗がリアルに描かれており、視聴者は当時の空気感を感じることができます。

高視聴率を獲得した背景には、時代を超えて共感できる普遍的なテーマと、俳優陣の熱演、そして丁寧な演出によるところが大きいでしょう。このドラマは、日本のドラマ史に残る名作として、今もなお多くの人々から愛され続けています。

まとめ：時代を超えて愛される名作

『イキのいい奴』シリーズは、時代を超えて多くの人々の心に響く名作ドラマです。職人技、人間ドラマ、時代背景、そして豪華キャストなど、魅力が満載です。もし機会があれば、ぜひご覧になってください。

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