若山富三郎

若山富三郎

若山富三郎（わかやま とみさぶろう）は、1929年に東京で生まれ、1992年に亡くなった著名な日本の俳優、歌手、映画監督です。彼の本名は奥村勝（おくむら まさる）で、特に殺陣での技術力で広く認知されています。長唄三味線を手がけた父の影響を受け、幼少期から芸事に触れて育ちました。彼はまた、弟の勝新太郎や、息子の若山騎一郎にも演技の道を受け継がせています。

初期の生活と芸名の由来

若山は弟の勝新太郎と共に長唄の修行をし、高校時代には柔道にも打ち込んでいました。最初は柔道教師になることを夢見ていましたが、その後1949年に長唄の和歌山富十郎に弟子入りし、若山富三郎という芸名を名付けられました。

映画デビューとキャリアの初期

1955年に『忍術児雷也』で映画デビューを果たし、その後『人形佐七捕物帖』シリーズや『銭形平次捕物控』などの時代劇で主演することになります。その演技力と共に、京劇のような華麗な殺陣が観客の心をつかみ、短期間で名声を得ました。初めは新東宝で活躍しましたが、同社が経営難に陥ると、1959年に東映に移籍しました。

映画と演技スタイルの形成

東映では『人形佐七捕物帖』シリーズを通じて、さらに多くの脇役や主要作品に出演。その後、1962年には大映に移籍し、城 健三朗と改名しましたが、不遇の時期を経験しました。やがて再び東映に戻り、若山富三郎という名前で活動を再開すると、コミカルな演技を交えたヤクザ映画の新しいスタイルを模索しました。

1968年から始まる『緋牡丹博徒シリーズ』や『極道シリーズ』などでは、義理人情の世界をコミカルかつシリアスに描くことで人気を博し、この頃から主演映画が続々と制作されるようになりました。特に『子連れ狼シリーズ』での拝一刀役は彼の代表作の一つとなり、海外でも評価されました。

俳優としてのコントロールと演出への関与

若山は俳優としての技術に加え、演出にも積極的に関与しました。自身のプロダクション「若山企画」を設立し、いくつかの作品で監督も務めました。また、1980年代に入ると、より多様な役柄に挑戦し、特に成人向け作品やサスペンス映画でもその存在感を発揮しました。

健康問題と晩年

若山の人生は役者としての成功と同時に、健康上の問題からも影響を受けました。喘息や糖尿病を抱えながらも、食生活や生活習慣を改善することは無く、その結果1984年には心筋梗塞で入院。以降も体調が優れない中での活動が続きました。1992年には再度の入院を経験し、命の危険が察知されたが、彼は最後まで俳優活動を続けました。

最終的に、1992年4月2日、急性心不全により62歳でこの世を去りました。葬儀には多くの友人や後輩が参列し、その死は家族やファン、業界で大きな悲しみを呼び起こしました。

まとめ

若山富三郎は日本の映画界において重要な位置を占める俳優であり、数々の作品を通じてその名は今でも語り継がれています。彼はただの俳優ではなく、芸術的な表現の幅を広げたプロデューサー、監督としても成功を収めました。彼の多才さとストイックな生き方は、後の世代の役者たちにも影響を与え続けています。

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