イギリス国鉄2形2-6-2T蒸気機関車

イギリス国鉄2形2-6-2T蒸気機関車

イギリス国鉄2形2-6-2T蒸気機関車は、1953年から1957年にかけて製造されたタンク式機関車です。これはイギリス国鉄が独自に設計した蒸気機関車の一つで、主にローカル線での運用を目的としていました。この機関車は、2MTという出力区分に分類され、客貨両用としても運用されることが期待されていました。

導入の背景

この蒸気機関車は、もともとロンドン・ミッドランド・アンド・スコティッシュ鉄道（LMS）の設計家、ジョージ・イヴァットによって設計されたものです。国鉄の国有化に伴い、1946年から1952年にかけて製造されたLMSタンク式2形の改良型として登場しました。国鉄標準テンダー式2形のタンク式バージョンとも言えます。この新型機の導入では、既存の私鉄や古いタイプのタンク機を置き換えるため、必要となったのは30両のみでした。

製造の詳細

イギリス国鉄ダービー工場で設計はされましたが、実際の製造は別の国鉄工場が担当しました。1953年から1957年にかけて、1次と2次の2回に分かれて生産され、最初の20両はロンドン・ミッドランド鉄道管理局（LMR）に、続く10両は南部鉄道管理局（SR）に配属されました。このように製造された機関車の番号は、以下のように振り分けられています:

• - クルー（20両）：84000 - 84019
• - ダーリントン（10両）：84020 - 84029

意外なことに、2次型のダーリントン工場製蒸気機関車は、2009年に製造されたA1形60163号機によって過去のものとはならなくなりました。

塗装事情

製造された機関車は全て黒に塗装されていますが、初期の20両には国鉄初期の紋章が描かれていました。当初の紋章は動輪を跨ぐライオンのデザインでしたが、1957年に製造された増備機からは新しい動輪を持ったライオンの紋章に変更されています。この変更は、見た目の統一性を持たせる工夫の一環だったと言えるでしょう。さらに、1次型の車両番号が標準的なサイズである8インチでしたが、2次型では10インチに拡大されました。

運用の経緯

1次型の機関車は主に、居住地間のローカル貨物や客貨混合列車へと運用されました。これにより、旧型タンク機の置き換えが進みました。また、ローカル列車が電化された後には、北東鉄道管理局（NER）にほとんどが転属されました。多数の機構が残る中、いくつかはかつてのSRに留まることになりましたが、その後の路線運用の移り変わりに伴い、何両かは期限内に廃車となりました。

保存状況

残念ながら、イギリス国鉄2形2-6-2T蒸気機関車は廃車後、保存されたものは一両も存在しません。すべて解体されてしまいました。ただし、同型機のテンダー機バージョンから改造されたタンク機84030が存在し、ブルーベル鉄道での運行を目的として改造が進められています。88059号機として保管されていた車両がタンク機に改造され、84030の番号が与えられ、ブルーベル鉄道への導入が期待されています。

このような背景を持つイギリス国鉄2形2-6-2T蒸気機関車は、そのプロトタイプがたくさんの人々にとって重要な記憶として残っているだけでなく、蒸気機関車としてのデザインと機能の融合を示しています。この機関車を通じて、イギリスの鉄道歴史における重要な一ページを知ることができます。

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