イギリス国鉄3形2-6-2T蒸気機関車

イギリス国鉄3形2-6-2T蒸気機関車

イギリス国鉄の3形2-6-2T蒸気機関車は、タンク式の蒸気機関車で、ロバート・リドルによって設計されました。この機関車の特徴は、ハイブリッド設計にあり、LMS 2形2-6-0蒸気機関車のシャーシを基にしながら、GWRのボイラーを改良した点にあります。

設計の詳細

本機のシャーシはLMS 4形蒸気機関車とほぼ同じ規格で製造されており、モーションブラケット、防振ブラケット、リバースシャフトブラケットといった重要な部品は、LMSが設計した別の蒸気機関車から流用されています。ボイラーは、元々GWRのタンク機関車に使われていたSwindon No. 2ボイラーを改造したもので、通常のボイラーよりも短縮されたバレルが特徴です。これにより、設計上の新しさと既存技術の融合が実現されています。

建設はイギリス国鉄の3形2-6-0蒸気機関車と同様に、元GWRスウィンドン工場で行われ、その一部はブライトンやダービー、ドンカスターでも設計されましたが、興味深いことに、ドンカスターで設計されたイギリス国鉄4形2-6-0とは異なるホイールデザインが使われました。また、シリンダーカバーには「ねじ込み」タイプの圧力リリーフバルブが装備されており、1955年以降には新しい「ボルトオン」タイプへと変更が行われました。

当初は63台の発注が予定されていましたが、1955年の近代化計画により、急遽キャンセルされることとなりました。

運用

この機関車は、新しいものからは西部地域、南部地域、北東部地域、ロンドンミッドランド地域と広範囲にわたって配属されました。特に西部地域ではスウィンドン工場で建設されたため、多くの車両がこの地域に集まり、古いGWR機関車を置き換える役割を果たしました。

彼らは運用面で見事な性能を発揮し、特に南部地域では高い評価を得ていました。No. 82029は旅客列車の運行中に、故障した他の機関車の代役を務めることもありました。最終的に82029は他の機関車による引き継ぎの後、旅客列車での役目を全うすることになりました。

塗装

本機はすべてイギリス国鉄のMTブラックに塗装されており、1957年以降には西部地域に配属された機関車が緑色に塗装されるようになりました。1960年代初頭からは一部の西部地域の機関車も緑色に塗り直されましたが、他の地域に配属された機関車は廃車まで黒い塗装を維持していました。面白いことに、82044号機関車は緑色に塗装されたものの、移転後に黒に戻されることになりました。

廃車

DFMUサービスの導入やBeeching政策により、本形式の運用は急速に減少しました。1964年には最初の10台が廃車され、82043号機関車はわずか8年8ヶ月の運用で姿を消しました。一方、82019号機関車は15年10ヶ月と比較的長く生存していましたが、このクラス全体では設計上の寿命は40年を想定されていました。残存機の中にはNine Elmsで保存されたものもあり、その状態は良好でした。

事故

1961年10月16日、機関車82028が貨物列車を牽引中、側線で待避していたために、別の列車との接触事故が発生しました。これにより、機関車は大きな損傷を負ったと伝えられています。

以上がイギリス国鉄3形2-6-2T蒸気機関車についての概要です。設計と運用の両面で優れた特徴を持つ本機は、蒸気機関車時代の重要な一ページを描いています。

もう一度検索