イギリス国鉄4形4-6-0蒸気機関車

イギリス国鉄4形4-6-0蒸気機関車について

イギリス国鉄4形4-6-0蒸気機関車は、1950年代に製造された蒸気機関車で、全80両が建造され、現在のところ6両が保存されています。この機関車は、客貨両用として設計され、特に軸重が重い路線でも運行可能なことを考慮に入れられました。基本的には、イギリス国鉄4形2-6-4T蒸気機関車の拡張版であり、それに多くの技術的特色が引き継がれています。

背景と設計

本形式の導入は1951年に始まり、イギリス国鉄の5形蒸気機関車やその前身であるLMSの5形蒸気機関車に比べ、適応性の高い設計が求められました。具体的には、GWRマナー級と比べて全体的に大きな構造となりながらも、ユニバーサルローディングゲージに基づいた設計が行われました。ボイラーバレルの長さは9インチ（約229 mm）延長されており、ボイラー、煙室、火室などは他のT形式蒸気機関車と同様の構造を持ち、特にスウィンドン工場での製造がその特徴を際立たせました。

RA Riddlesがブライトン工場で行った設計作業を支えに、スウィンドン、ダービー、ドンカスターの各工場からの協力を受けて、この機関車は開発されました。80台すべての製造はスウィンドン工場で行われ、試験運用もそこで行われました。相互テストを通じて、各機関車の蒸気処理能力に改善点が見つかり、その結果として本形式はさらなる性能向上を実現しました。

技術仕様

イギリス国鉄4形4-6-0の機関車は、67.90トンの重量で、長さは60フィート（約18.29メートル）、駆動輪の直径は5フィート8インチ（約1.727メートル）です。最大ボイラー圧力は225 lbf/in²（約1.55 MPa）で、18インチ（約457 mm）と28インチ（約711 mm）のストロークを持つ2つのシリンダーが搭載されています。この組み合わせによって、25,515 lbf（約113.5 kN）の牽引力を生み出すことが可能です。イギリス国鉄ではこの機関車を4MTと分類しています。

運用の実績

イギリス国鉄の6つの地域のうち、特にロンドンのミッドランド地域に45両、西部地域に20両、南部地域に15両が配備されました。ミッドランド地域に所属した4形は、支線や二次ルートの旅客列車と貨物列車の運行に従事し、LMSの蒸気機関車と同様の作業を行いました。西部地域では、20両が配置され、GWRマナー級蒸気機関車と共に急勾配の支線での客貨混合列車の担当を行っていました。

保存状況

現在、6両が保存されているイギリス国鉄4形4-6-0蒸気機関車ですが、75079号機を除く他の5両は動態保存にされています。これらのうち2両はイギリス国鉄から直接取得され、その他の4両はバリー島に位置するWoodham Brothersのスクラップヤードから救助されました。保存された機関車の中には、本線走行が承認されていないものの、75014、75029、75069の3両が過去に本線で運行した実績があります。

このように、イギリス国鉄4形4-6-0蒸気機関車は、その多用途性と優れた設計により、歴史的にも重要な役割を果たしてきました。この機関車の存在は、蒸気機関車の技術的進歩とイギリスの鉄道発展の象徴とも言えるでしょう。

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