イギリス宇宙局

イギリス宇宙局（UK Space Agency）

イギリス宇宙局（UKSA）は、イギリス政府が宇宙開発を推進するために設立した機関です。2010年4月1日に、それまでのイギリス国立宇宙センターを発展的に解消する形で誕生しました。UKSAは、国家の宇宙開発に関する政策の立案、予算管理、国際的な宇宙関連交渉におけるイギリスの代表としての役割を担っています。

創設とその目的

UKSAの創設は、2010年3月23日に正式に発表されました。ピーター・マンデルソン議員、ポール・ドレイソン議員、そしてティモニー・ピーク陸軍航空隊長によって、クイーン・エリザベス2世会議センターで発表会が行われました。

設立当初、UKSAには約2億3,000万ポンドの予算と、他の機関から移管された運営組織が与えられました。創設費用は、約6,000万USドルと換算されています。ドレイソン議員によれば、UKSAの主な任務は「地球科学、遠距離通信、宇宙探査などの分野におけるイギリスの取り組みを統合し、促進すること」でした。

UKSA設立の大きな目的の一つは、宇宙および衛星産業に関わる60億ポンドの予算と、6万8,000人の雇用を保護することです。さらに、20年計画では、予算を400億ポンドに増大させ、10万人の雇用を創出し、世界の宇宙産業におけるシェアを現在の6％から10％に拡大することを目指しています。この計画は、「宇宙新機軸および成長戦略（Space Innovation and Growth Strategy, Space-IGS）」に基づいており、Space-IGSはイギリス政府に対し、ヨーロッパ宇宙機関（ESA）と重複する事業の整理や、2030年までに少なくとも3つの主要なプロジェクトを開始することを求めています。ただし、この具体的な内容については、ドレイソン議員が「それぞれの提案や計画がビジネスチャンスとなることを期待している」と述べるにとどまっています。

国際宇宙革新センター（ISIC）

UKSAの主要な事業の一つとして、「国際宇宙革新センター（ISIC）」が、オックスフォードシャー州ハーウェルに建設されました。この施設には4,000万ポンドの費用が投じられ、ESAの研究機関と並行して運営されています。ISICの主な任務は、気候変動の研究と宇宙の安全保障に関する取り組みを推進することです。建設費のうち2,400万ポンドは国からの補助金で賄われており、産業界からの助言も得ながら、5年間で700人の雇用創出を目指しています。

他機関からの権限委譲

UKSAは、以下の責務と権限を他の政府機関から引き継ぎました。

イギリス国立宇宙センターのすべての責務、職員、資産
自然環境調査委員会、科学技術施設委員会、技術戦略委員会が関わる、ESAとの契約（助成金計画やロケット打ち上げ後の支援を含む）
「環境および安全保障のための地球観測機器」におけるイギリスの分担およびガリレオ測位システムへの参加
ヨーロッパ連合宇宙センターにおける金利（原則合意）
イギリス調査委員会および技術戦略委員会からの技術および機器への資金提供

まとめ

イギリス宇宙局は、イギリスの宇宙開発を主導する重要な機関として、その活動は多岐にわたります。国家の宇宙政策を策定し、予算を管理するだけでなく、国際的な協力関係を築き、イギリスの宇宙産業の発展に貢献しています。研究開発、宇宙安全保障、気候変動対策など、様々な分野で重要な役割を果たしており、今後の宇宙開発におけるイギリスのプレゼンスをさらに高めることが期待されています。

参考資料

イギリス宇宙局公式サイト
* Lord Drayson (23 March 2010). “UK Space Agency Launch – News and Speeches”.. “UK Space Agency Launch – News and Speeches”) （ビデオ版も含む）

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