イギリス市民

イギリス市民：権利と取得方法

イギリス市民とは、イギリス国籍の中でも最も完全な権利を有する区分です。イギリス国内において、居住、就労などあらゆる権利を享受できます。この地位は、主に出生または帰化によって取得されます。

出生による取得

1983年以前にイギリス諸島（イギリス本土および王室属領）で生まれた者は、両親の国籍に関わらず、イギリス市民となることができました。しかし、1981年イギリス国籍法の改正により、1983年以降の出生については条件が変更されました。片方の親がイギリス市民、またはイギリスに永住権を持つ者である場合にのみ、出生時にイギリス市民となります。

具体的には、片方の親がイギリス市民であるか、またはイギリスに永住権を有する者であることが条件となります。また、両親がイギリス国籍を世襲以外の方法で取得している場合、海外で生まれた成人であっても、世襲によってイギリス市民となることができます。さらに、未成年者は、両親が出生前に一定期間イギリスに居住していた場合、登録によってイギリス市民となることができます。養子の場合は、養子縁組時点で養親のもとで自然に生まれたものとして扱われます。イギリス軍隊員や王室職員との間に外国で生まれた子供は、イギリスで生まれたものとして扱われます。

帰化による取得

イギリス国籍を持たない外国人は、一定の居住要件（通常は5年間）を満たし、永住権を取得した後、帰化によってイギリス市民になることができます。この過程では、言語能力やイギリス社会への統合度など、様々な条件を満たす必要があります。

イギリス市民の権利

イギリス市民は、イギリス国内において、居住、就労、投票など、あらゆる権利を有します。また、以前はEU市民権も自動的に付与されていましたが、2020年のEU離脱により、この権利は失われました。ただし、アイルランド共和国においては、共通旅行区域協定に基づき、居住や就労の権利は維持されています。

EU離脱の影響

2020年1月31日のEU離脱により、イギリス市民はEU市民権を失いました。これにより、他のEU加盟国や欧州自由貿易連合(EFTA)諸国における居住や就労の自動的な権利は消滅しました。ただし、アイルランド共和国については、共通旅行区域協定により、引き続き居住や就労の権利が保障されています。EU離脱はイギリス市民の権利に大きな影響を与え、今後の国際関係や国内政策にも影響を及ぼし続けるでしょう。

まとめ

イギリス市民は、イギリス国内において完全な権利を有する国籍区分です。出生または帰化によって取得でき、その権利内容は時代とともに変化しています。特にEU離脱は大きな転換点となり、イギリス市民の権利の行方、そしてイギリスの国際的な地位に注目が集まっています。今後も、イギリス国籍法の改正や国際情勢の変化によって、イギリス市民の権利や地位は影響を受ける可能性があります。

もう一度検索