イギリス海軍師団

イギリス海軍師団の歴史

イギリス海軍師団（Royal Naval Division, RND）は、第一次世界大戦の期間中、イギリス海軍が編成した陸上戦闘部隊です。この部隊は、1914年に戦争が勃発した際、海軍大臣ウィンストン・チャーチルの指導のもと、余剰海軍要員の有効活用を目的として結成されました。初期の構成では、海兵隊と水兵陸戦隊から成る2万から3万名の兵士が参加し、その多くは訓練を受けていない状態であったため、装備が不十分なまま戦場に送られました。

沿革

例年、イギリス海軍は「海軍旅団」という臨時の陸上戦闘部隊を編成してきましたが、第一次世界大戦の勃発に伴い、これを拡張し大規模な師団としました。海軍旅団は、特にポーツマスの砲術学校で受けた陸戦訓練を持つ水兵を中心に、各種海軍要員から構成されました。1914年9月には、正式にイギリス海軍師団が設立され、ベルギーのアントウェルペンに派遣されましたが、ドイツ軍の攻撃を受け、早々に撤退を余儀なくされます。

1915年には、ガリポリの戦いに参加します。ここでは、オーストラリア・ニュージーランド軍団を支援し、他の部隊との連携をとりながら戦闘を繰り広げました。残念ながら、多くの兵士が戦闘で命を失い、その損害は深刻なものでした。

1916年には陸軍省に移管され、さらに第63師団に改編されました。陸軍への統合が進む中、特にソンムの戦いなどの西部戦線での戦闘を経験し、従来の海軍的な特色は段階的に失われていきます。

編制

イギリス海軍師団の構成は、創設時には4個歩兵大隊から編成された旅団が主な組織でした。例として、第1海軍旅団にはドレーク大隊、ホーク大隊、ベンボウ大隊、コリングウッド大隊がありました。また、海兵旅団にはチャタム大隊などが存在しました。これらは、海軍所属の名士や地域名を冠した部隊名で知られています。

一方で、第63師団への改編後は、多くの新たな陸軍部隊と混成され、いくつかの旅団が再編成されることとなります。最終的には第188旅団から第190旅団の3旅団が形成され、砲兵部隊や工兵分隊が追加され、完全に陸軍部隊として機能するようになりました。

戦争の終結とその後

第一次世界大戦が終わると、1919年にフランスで動員が解除され、6月には正式に解体されました。この間、イギリス海軍師団は47,900人以上の死傷者を出し、戦争の過酷さを物語る存在となったのです。海軍から陸軍へと変遷を遂げたこの部隊は、戦後の歴史においても重要な役割を果たしました。日本にも影響を与えた西洋の軍事戦略や体制が、イギリス海軍師団の活動を通じて確認できるでしょう。

このように、イギリス海軍師団は第一次世界大戦という激動の時代に、重要な歴史的な地位を占めていた部隊であったことを理解することができます。

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