イギリス軍のC4Iシステム

イギリス軍のC4Iシステムの概要

イギリス軍は、北大西洋条約機構（NATO）の中心的な軍事力として、アメリカ軍と共に国際的な安全保障を担っています。特にC4I（司令・制御・通信・コンピュータ・情報）システムの整備は、海外での作戦行動において欠かせない要素となっています。この重要性を受け、イギリス軍は1998年7月に発表された戦略防衛見直し（SDR）に基づき、C4Iシステムの統合方針を策定し、開発と配備を進めてきました。

C4Iシステムの段階

イギリス軍のC4Iシステムは、大きく戦略級、作戦級、戦術級の3つの階層に分かれています。これにより、各階層で適切な情報管理と指揮統制が行われており、作戦の効率を高めています。

戦略級システム

イギリス軍における戦略級C4Iシステムとしては、JOCS（Joint Operational Command System）が挙げられます。これは湾岸戦争から得られた教訓を背景に1995年から開発が始まり、最初の運用段階ではノースウッドのPermanent Joint Headquarters（PJHQ）に統合司令部が整備されました。2002年までの進展を経て、JOCSはさらなるフェーズに移行し、アメリカ軍の汎地球指揮統制システム（GCCS）に近い性能を持つシステムとして運用されています。

作戦級システム

作戦級システムは各軍種で異なり、イギリス陸軍、海軍、空軍それぞれに固有のシステムが採用されています。陸軍ではFBMS（Formation Battle Management System）が導入され、兵力運用を統制しています。このシステムは、1998年に開始された陸上戦闘空間デジタル化管理計画に基づき、各部隊への配備が進められています。

海軍においては、RNCSS（Royal Navy Command Support System）が主要な作戦級C4Iシステムとして機能し、スカイネット衛星通信システムを基盤としています。また、空軍ではUKADGE（UK Air Defence Ground Environment）が防空作戦を支え、戦術級の役割も果たしています。

戦術級システム

戦術級C4Iシステムにおいては、陸軍がBGBMS（Battle Group Battle Management System）を導入し、部隊間の迅速な情報共有と連携を図っています。このシステムは特に群や大隊レベルでの使用を意図しており、アメリカ陸軍のFBCB2システムに匹敵します。BGBMSは、ボウマン戦術無線通信システムを基盤にしており、高い抗堪性と相互運用性を持つ通信システムです。

海軍では、ADA/ADAWSやCAAISなどが運用され、戦術情報処理装置を艦艇に搭載しています。さらに、戦術データリンクにおいては、リンク10からリンク16への更新が進められています。空軍でもUKADGEが重要な役割を担い、ボーイング・セントリーAEW（AWACS）機によって空中での指揮統制が行われます。

結論

イギリス軍のC4Iシステムは、各軍種の特性を活かしながら整備され、多様な作戦に応じて運用されることで、国家安全保障における重要な役割を果たしています。これらのシステムの発展は、効率的かつ効果的な軍事作戦を支える基盤となり、イギリス軍が直面する複雑な脅威に対抗するための重要な要素です。今後も技術革新が進む中で、C4Iシステムのさらなる進化が期待されます。

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