イクア・ボラーニョス大火災

イクア・ボラーニョス大火災

2004年8月1日、パラグアイの首都アスンシオンにある大型スーパーマーケット「イクア・ボラーニョス」で発生した大規模火災です。この火災は、394人もの命を奪い、約500人もの負傷者を出すという、パラグアイ史上最悪の惨事の一つとなりました。

火災の概要

火災は、スーパーマーケットとレストラン、オフィス、地下駐車場を含む3階建ての複合商業施設で発生しました。火元は1階フロアとされ、2度の爆発が起きたと伝えられています。消防隊による消火活動は7時間にも及びましたが、その間に被害は拡大の一途を辿りました。

火災発生後、医薬品などの物資が不足し、隣国アルゼンチンから緊急援助を受ける事態となりました。原因は、焼肉用の煙突のメンテナンス不足でした。長年手入れされていなかった煙突内部に堆積した油や塵が、調理によって発生した高温の煙に熱せられ発火。その結果発生した可燃性ガスが天井に漏れ、引火したとされています。

閉鎖された扉

火災発生時、ショッピングセンターのオーナーであるファン・ピウス・パイヴァとその息子ビクトル・ダニエル・パイヴァが、商品の持ち去りを恐れて施設の扉を閉鎖するよう指示したという証言が、消防士や生存者から出ています。これにより、多くの人々が避難経路を断たれ、逃げ遅れる結果となりました。ただし、ショッピングセンター側は意図的な扉の閉鎖を否定しています。

警察は、ファン・ピウス・パイヴァ、ビクトル・ダニエル・パイヴァ、警備員ら5人を逮捕し、起訴しました。

裁判

2006年12月5日、裁判所はファン・ピウス・パイヴァ、ビクトル・ダニエル・パイヴァ、警備員らに対し、検察の求刑である25年には及ばないものの、最高で5年の有罪判決を下しました。この判決に、生存者や犠牲者の遺族は激怒し、法廷内外で暴動が発生する事態となりました。検察は判決を不服として、裁判のやり直しを求めました。

2008年2月2日、再審の結果、裁判所は3名に対し過失致死傷罪を適用しました。ファン・ピウス・パイヴァには12年の刑、ビクトル・ダニエル・パイヴァには10年の刑、扉を閉じた警備員には5年の刑が言い渡されました。また、株主のウンベルト・カサクシアには、職員を危険にさらした罪で2年半の刑、複合施設を設計・建築した建設業者には、危険な構築物を建設した罪で2年の自宅軟禁が言い渡されました。

イクア・ボラーニョス大火災は、施設の安全管理の不備や、責任者の対応の遅れが、いかに甚大な被害をもたらすかを如実に示した事件として、人々の記憶に深く刻まれています。

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