イグザンプラー

『イグザンプラー』は、インターネット放送局「The Color Television Network」にて2006年 4月22日まで放送されていた情報バラエティ番組です。毎週土曜夜に配信された本番組は、かつて東京MXテレビで視聴者の度肝を抜いた『テレバイダー』の制作スタッフが再集結して手掛けた企画であり、『テレバイダー』シリーズの一つに位置づけられます。

放送・配信形態

2005年 2月に無料ストリーミングで試験放送を開始。本放送は毎週土曜22時からの生放送に加え、放送時間以外でのオンデマンド視聴も可能でした。携帯電話向けには、スポンサーであったドワンゴ協力のもと、会員制サービス「パケラジ」でも無料ストリーミング配信が行われ、パケラジ限定の数分間の追加コンテンツも提供されました。また、MSNビデオ（現在は終了）や、2006年 8月からはYahoo!動画でも番組の一部または過去のコーナーが配信されるなど、多様なプラットフォームで視聴者に届けられました。

番組内容の特色

『イグザンプラー』は、『テレバイダー』の精神を受け継ぎつつ、独自の進化を遂げました。最大の特徴は、時事問題などを斜めから捉える独特の視点と、裏番組情報、ネット検索結果を基にしたユニークなデータ提示など、既存メディアの枠にとらわれないナンセンスかつ挑戦的な情報バラエティスタイルです。放送原稿をウェブ上で公開するといった透明性も持ち合わせていました。さらに、『イグザンプラー』から始まった試みとして、番組ブログでの情報発信や、放送直後のBBSを通じてアンカーマン金剛地武志氏と直接コミュニケーションを取れるインタラクティブ企画「イグザンプラープラス1」などが導入され、視聴者との距離を縮める工夫が凝らされました。姉妹番組として、金剛地氏による企業レポート「CTVN MARKET」やインタビュー企画「CTVN DOCUMENT」も制作されました。

出演者と主なコーナー

番組のアンカーマンは金剛地武志氏が務め、寺田椿氏らが不定期で参加しました。2005年後半からは小林はるか氏、小川友佳氏、相内優香氏がアンカーウーマンとして加わりました。番組内では、特定の対象（地域、組織、大学など）を独自の基準で「査定」するシリーズ、「テレビの情報」（詳細な裏番組速報）、街頭インタビューとラップの「シティライツ」、インターネットならではの「今週の優良サイト」紹介、検索結果を活用した「占いのコーナー」や「イグザンプラーで検索」といった企画が展開されました。他局の人気番組『笑っていいとも!』や『徹子の部屋』のゲスト情報を紹介するパロディ的な側面もあり、メディア批評的なニュアンスも含まれていました。試験放送時には、地域を惣菜に例えるユニークな「新・区域査定」コーナーもありました。

特筆すべきエピソード

本番組は、時にメディアの常識や放送コードを覆すような挑戦的な企画を実行しました。特に知られているのは、2005年 8月27日に日本テレビの「24時間テレビ」の真裏で放送された企画です。アンカーマン金剛地氏が黄色いTシャツ姿でマラソンをする様子を30分間放送し続けるという前代未聞の内容で、ゴール直前で謎の妨害に遭い番組が終了するという展開は、その後の別番組で改めて公開されるほど話題となりました。また、同年9月10日には衆議院総選挙の前夜に候補者人気投票を生放送で行うという、公職選挙法への挑戦とも取れる姿勢を示しました（ただし、結果は放送では公表されませんでした）。これらのエピソードは、『イグザンプラー』が既存の枠に囚われない自由な発想で制作されていたことを象徴しています。

インターネット放送終了とその後の展開

2006年 4月22日をもってインターネットでのレギュラー放送は一旦終了し、最終回の「イグザンプラープラスワン」では金剛地氏が感極まって号泣する場面も見られました。しかし、番組の系譜は完全に途絶えませんでした。わずか1週間後の2006年 4月28日からは、地上波のtvk（テレビ神奈川）に舞台を移し、『イグザンプラーテレビ』（後に『イグザンプラードラマ』）として放送を開始しました。インターネットでの放送は終了しましたが、「パケラジ」での配信は継続され、tvkとは異なる視点での映像やCM中の様子なども提供されました。インターネットでの視聴も完全に途絶えたわけではなく、番組の舞台裏映像や、キーワード検索でアクセスできる特典映像、ネット限定のコーナーなど、様々な形でコンテンツが配信されました。さらに、2006年 9月16日から10月2日までの期間限定で復活放送が行われ、新たな出演者を迎えつつ、動画メール募集やプレーヤー連動企画など、よりインタラクティブな試みが導入されるなど、インターネットと地上波、モバイルを横断する独自のメディア展開を見せました。

番組の意義

『イグザンプラー』は、インターネット放送という当時の新しいメディアを舞台に、『テレバイダー』譲りの自由な発想と挑戦的な企画力で独自の地位を確立しました。生放送、オンデマンド、携帯ストリーミング、各種配信サービス、そして地上波テレビへと、多様なプラットフォームを活用しながら展開し、常に視聴者を飽きさせない試みを行いました。その挑戦的な姿勢や、メディアの境界を曖昧にするような活動は、後のインターネットと放送の連携を予見させるものであり、短命ながらも強いインパクトを残した番組と言えるでしょう。

関連項目

テレバイダー
鈴木タイムラー
* THE 鈴木タイムラー

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