テレバイダー

東京MXテレビで2001年7月7日から2003年1月1日まで放送された情報バラエティ番組が「テレバイダー」です。テレビとプロバイダーを組み合わせた造語をタイトルに冠したこの番組は、アンカーマンに金剛地武志を据え、ニュース番組のスタイルを模倣しながらも、一般的な情報番組とは一線を画す独自の路線を確立しました。

当初はわずか3ヶ月限定の企画として始まりましたが、その斬新な内容は瞬く間に注目を集め、レギュラー放送へと移行。生放送ならではの臨場感や、東京ローカル局という特性を生かし、他局の番組状況を随時伝える「裏番組速報」など、個性的な試みでファンを獲得していきました。番組はニュース形式を踏襲しつつも、扱われる内容は時事問題を斜めから見たり、時にはナンセンスともいえる視点で分析・報道。金剛地武志の特異なキャラクター、出演者同士のどこかシュールな掛け合い、そして世間の常識とはかけ離れた独自のランキング発表などが融合し、一部の熱狂的な視聴者からカルト的な人気を博しました。

「数字は正義」「東京情報が日本のオピニオン」「情報は全人類で共有すべき」といった、番組が掲げる独自の基本方針も特徴的でした。「数字は正義」の名の通り、あらゆる事象を無理やり数値化し、時にナンセンスなデータに基づいて論じるスタイル。「東京情報が日本のオピニオン」という徹底した東京至上主義は、他地域や文化を揶揄する過激な表現にも繋がりました。また、「情報は全人類で共有すべき」という理念に基づき、放送と同時にインターネットのBBSやチャットを開設し、番組進行中にリアルタイムで視聴者と交流。ウェブ上で放送原稿を公開したり、ウェブカメラでスタジオの様子を配信するなど、当時としては非常に先進的かつ積極的なインターネット活用を行いました。

番組には様々なユニークなコーナーが存在しました。前述の「裏番組速報」のほか、有名トーク番組の出演者を紹介するパロディコーナー、洋邦の音楽や映画ランキングに合わせた「どうでもいい」独自のランキング、経済や政治、国際ニュースを皮肉たっぷりに紹介するコーナーなど。中でも印象的なのは、街頭で消費税計算をさせる「消費税計算のコーナー」や、東京23区を独自の基準で査定する「東京区域査定」、そして、その週の12星座占いの「ラッキーアイテム」だけを羅列して伝える「占いのコーナー」など、テレバイダーらしい独特の視点とシュールな笑いが散りばめられたものでした。

テレバイダーは、2002年末から2003年始にかけて放送された年越しスペシャルをもってレギュラー放送に幕を下ろしましたが、その精神は後に続く番組に引き継がれます。番組終了からしばらくの間、インターネット放送で『イグザンプラー』が制作・配信されました。これはテレバイダーのスタイルを踏襲し、金剛地武志も出演したため、多くのファンから実質的な後継番組と見なされました。

2008年にはBS11デジタルにて、同趣旨の番組『テレブリッド』が不定期で放送されます。こちらは「テレビジョン」と「ハイブリッド」を組み合わせたタイトルで、基本コンセプトや公式サイトのデザインなどはテレバイダーを踏襲。BS放送になったことで全国での視聴が可能となり、ハイビジョン制作にも対応しましたが、わずか4回の放送で終了しました。2011年には、名物コーナー「裏番組速報」を特化させたインターネット番組『ニコ速60!』がニコニコ生放送で配信されるなど、形を変えながらもテレバイダーのエッセンスは受け継がれました。

テレバイダーの放送終了後、番組制作に関わったスタッフが中心となり、株式会社テレバイダー・エンタテインメントが設立されています。この会社は金剛地武志を引き続き起用し、『イグザンプラーTV』などを制作。また、後に東京MXテレビで放送された『バナナ炎』や、TBSの『リンカーン』『キングオブコント』といった人気バラエティ番組の制作や制作協力も手がけるなど、テレビ業界において独自の存在感を示しています。

わずか1年半強の放送期間ながら、その斬新なコンセプト、時代を先取りしたインターネット連携、そして徹底した「どうでもいい」情報の扱い方で、日本のテレビ番組史において異彩を放った「テレバイダー」。コアなファンに熱く支持され、今なお語り継がれる伝説的な情報バラエティ番組と言えるでしょう。

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