イザベルとベネ

「イザベルとベネ」は、マサボ・イザベル・ナオミとディア・ベネディクトという二人の女性によるお笑いコンビです。最大の特徴は、そのメンバーが持つ国際色豊かな背景と、多言語を操る能力にありました。コンビは「イザベネ」の略称で親しまれました。

メンバーのプロフィールを見ると、イザベルことマサボ・イザベル・ナオミ（旧姓：新城 イザベル奈緒美、1981年5月28日生まれ）は、フランス人の父親と日本人の母親を持ち、二つの文化を背負っています。一方、ベネことディア・ベネディクト（1981年3月4日生まれ）は、セネガルのダカールで生を受け、父親がセネガル人の外交官、母親がスロバキア人という、さらに多様な文化的ルーツを持っています。同世代である二人は、この多文化的な素養をネタに取り入れ、多言語でのコメディを日本のメディアで披露しました。

彼女たちの活動は主に2000年代に行われました。特に注目される実績として、2001年には日本の漫才コンテストの代表格であるM-1グランプリにおいて準決勝まで駒を進め、お笑い芸人としての実力を示しました。また、フジテレビの健康情報番組『体操の時間。』には、同じく外国籍のお笑いコンビであった塩コショーと共に、バックダンサーや「PPファクトリー」というチームの一員として出演するなど、バラエティ豊かな活動を展開しました。

イザベルとベネの大きな強みは、公称で4〜5ヶ国語を話すことができる語学力でした。この能力は、レギュラー出演していた岐阜放送ラジオの番組『イザベルとベネのcheckez×2!! げっちゅ〜!』の中で様々な企画に活かされました。番組内のコーナーには、注目の情報を掘り下げる「Checkez×2!研究所」、リスナーに毎週一言ずつ語学を教える「イザベネ流」、リスナーからの便りを紹介する「イザベネの穴」などがあり、彼女たちの知性と個性が光る内容でした。

コンビとして出演した主な番組は以下の通りです。

NHK連続テレビ小説『さくら』に出演（イザベル：イボンヌ役、ベネ：アイーシャ役）
チャンネルNECO『おすぎのシネバラ!』
フジテレビ『体操の時間。』
岐阜放送ラジオ『イザベルとベネのcheckez×2!! げっちゅ〜!』
テレビ朝日『笑いの金メダルjr. くりぃむ杯』
TBS『Goro's Bar』
テレビ東京『データで勝負!』、同じく『中山道』
TOKYO MX『九州三都浪漫』
ニッポン放送『うえやなぎまさひこのサプライズ!』（月2回、産経新聞販売店からの生中継リポーター）
NHK Eテレ『天才ビットくん』
EXエンタテイメント『ガムシャラ旅行団』
NHK『歴旅Q タイムトラベラー「江」』（2011年1月3日放送）

イザベルとベネは、2011年頃にコンビとしての活動を終了し、それぞれの道を歩むこととなりました。解散後、二人は異なる分野で活躍しています。イザベルは、欧州物産株式会社やテレビジオン株式会社の代表取締役として、ビジネスの世界で手腕を発揮しています。また、個人でのメディア出演も継続しており、NHK WORLDの番組や、テレビ東京の経済番組『日経スペシャル 未来世紀ジパング〜沸騰現場の経済学〜』では、フランスやヨーロッパに関連するテーマで複数回にわたり専門的な視点を提供しました。フジテレビの『ノンストップ!』にも出演歴があります。

一方、ベネはキャリアの新たな地平を求め、シンガポールへ移住しました。2012年4月以降、英国の大手市場調査会社ユーロモニター・インターナショナルのシンガポール支社に勤務し、2022年9月からはグローバルイベント部門の責任者（global head of event）を務めるなど、国際的なビジネスキャリアを築いています。また、かつてお笑い芸人として活動していた時期には、日本テレビの『エンタの神様』に「ベネと千太郎」というコンビで出演し、「禁断のブラックジョーク」というキャッチコピーで話題を呼んだ経験もあります。その他、テレビ朝日『ドスペ2』、テレビ静岡『誰(タレ)よりも君を愛す!』、NHK『探検バクモンスペシャル』など、個人として様々な番組に出演しています。

イザベルとベネは、短い活動期間ながらも、そのユニークなルーツと多言語能力を武器に、日本のエンターテインメント界において国際派コメディアンとして確かな足跡を残しました。コンビ解消後も、それぞれがビジネスやグローバルな舞台で活躍を続けており、その才能を発揮しています。

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