イズミット地震 (1999年)

1999年イズミット地震の概要

1999年8月17日3時02分にトルコ北西部で発生したイズミット地震は、マグニチュード7.6という巨大地震であり、震源地はコジャエリ県のイズミット市周辺でした。地震は37秒間にわたり続き、その結果、1万7000人以上が命を落とし、約60万人が住居を失うという深刻な状況に陥りました。震災の影響は広範囲に及び、特に人口密度の高い工業地帯だったギョルジュク町では、精油所や海軍本部などが炎上し、被害がさらに拡大しました。

被害状況

地震発生後、トルコ政府は当初の公式な被害数として死者1万7127名、負傷者4万3959名を発表しました。しかし、実際の死者数は行方不明者も含め4万5000名前後ではないかと推測されています。地震の影響で60万人を超える人々が避難生活を余儀なくされました。

炭化した多くの構造物の中でも、特に700キロトン以上の石油を貯蔵していたテュプラシュ社の精油所が倒壊・炎上し、鎮火に数日を要しました。さらに、この地震はイスタンブールにも甚大な被害をもたらしました。

亡くなった人々の遺体は、感染症の危険を避けるために、迅速に集団墓地に埋葬される処置がとられました。また、トルコ軍に所属する兵士たちは、親せきの救助のために特別に45日間の休暇を取得しました。

地質学的背景

イズミット地震は、全長150kmにわたる断層に関連して発生しました。この断層のずれ幅は最大5.7mとされており、北アナトリア断層（NAFZ）西側に沿って活動しました。トルコの地質学的構造は、アナトリアプレートが北のユーラシアプレートと南のアフリカプレートやアラビアプレートの影響で、年2〜2.5cmの速度で西に動いていることに起因します。

この地震には津波も伴い、マルマラ海では最大3mの津波が観測されました。特にイスタンブールのAvcılar地区は、海土で構成された脆弱な地盤に位置しており、地震の影響を強く受けました。

国際的な支援

この大震災に対しては、国際的な支援が数多く寄せられました。捜索チームや各種物資が世界各国からトルコへ届けられ、生存者の救出活動や、避難した人々への医療や物資供給が迅速に行われました。

日本からも消防庁の国際消防救助隊および海上保安庁が組織した救助チームが派遣され、一名の生存者を救出しました。国際赤十字と赤新月社は、450万ポンドの資金を必要とし、イギリスは5万ポンドの緊急援助を行いました。様々な国からも毛布、医薬品、食料が送られ、給水システムの復旧も、多くの技術者によって修復されました。

アメリカ大統領のビル・クリントン氏およびパキスタンの首相ナワーズ・シャリーフ氏が後に現地を訪れ、その状況を視察したことも記憶に新しいです。

結論

1999年のイズミット地震は、トルコ史上最も記憶に残る悲劇の一つであり、地震の影響や国際的な支援の重要性を再認識させる出来事でもありました。この出来事を通じて、地震に対する備えや対応の重要性が改めて強調されています。

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