イタリアの宗教

イタリアにおける宗教の現状

イタリアは、歴史的に見ても重要な宗教の中心地の一つであり、特にカトリック教会と深い関係があります。4世紀にはローマ帝国によるキリスト教の布教が始まり、その中心にあったバチカン市国は現在でもカトリックの中心地としての役割を果たしています。

カトリック教徒の割合

2014年に実施されたイタリアの民間調査機関「EURISPES」による世論調査では、参加者の75.2%がカトリック教徒であると回答しました。その中で、33.1%は信仰を実際に実践しており、42.1%は信仰を持っていながらも実践していないとされました。また、カトリック信者の中で約28.8%は「毎週教会に行く」と答えています。この結果は、イタリアにおける宗教的信念の実践が多様であることを示しており、カトリック信者の中にもさまざまな考え方が存在していることを明らかにしています。

無宗教と他宗教の存在

カトリック信者以外の残りの約25%は無宗教や無神論者であり、他宗教は数パーセントを占めるに過ぎません。特にムスリムは少数派であり、2012年の調査ではムスリムが3.7%、その他の宗教は0.6%だったと報告されています。イタリアの文化がカトリック教会による影響を強く受けている一方で、教義に反して同棲・離婚・妊娠中絶などについては、カトリック教徒の多くが肯定的な見解を持っているというのも興味深い点です。

過去の調査結果

イタリアの宗教観を知る上で、過去の調査結果も貴重な情報を提供しています。2011年のイプソス・モリによる調査では、77%がキリスト教徒であり、無宗教や無神論や不可知論者が15%を占め、残りの2%は他の宗教に属しているとされています。また、2005年のユーロバロメーター調査では、74%が「神の存在を信じる」という結果が出ており、16%は「何らかの霊的な存在を信じる」、6%は「どんな霊的な存在も信じない」と答えました。

宗教別人口構成

イタリア国内の宗教別人口構成を見てみると、2006年の推計では、総人口58,751,711人に対して、キリスト教徒が53,800,000人（91.6%）を占め、そのほとんどがカトリック教徒（51,600,000人、87.8%）です。カトリック以外のキリスト教徒は約2,200,000人（3.8%）となっており、正教会やプロテスタントも少数派です。

また、イスラム教徒は約1,130,000人（1.9%）、無宗教の人々も3,400,000人（5.8%）を占めており、幅広い宗教的信念が共存していることが伺えます。その他にも仏教徒やヒンドゥー教徒、ユダヤ教徒が見られるなど、多様な信仰が渦巻く国でもあるのです。

今後の宗教観

現在の宗教状況は時代と共に変わってきており、イタリアにおけるカトリック信仰も新たな挑戦を迎えています。信仰の実践が多様化し、倫理的な問題に対する見解が変わる中で、信者たちはいかにして自らの信仰を社会の中で位置付けていくのかが注目されるでしょう。宗教が持つ力とその影響力の中で、イタリア社会がどのように発展していくのか、未来の展望にも期待が高まります。

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