イタリアの降伏

イタリアの降伏と連合国との休戦協定

第二次世界大戦におけるイタリアの降伏は、1943年9月8日に発表されました。イタリア王国は連合国との休戦協定を締結し、枢軸国から離脱することを決定しました。これは、イタリア国内でのファシスト体制への反発や、連合国による北アフリカ戦線での勝利が背景にありました。

背景の検討

イタリアの降伏に至る経緯には、1943年1月に行われたカサブランカ会談での連合国の無条件降伏方針が影響しています。アメリカとイギリスのリーダーたちは、枢軸国には一切の和平交渉を行わず、降伏のみが戦争終結の手段であると決定しました。これは第一次世界大戦後、ドイツの敗北を受け入れられなかった結果への反省とも言えるでしょう。

特にルーズベルト大統領はこの見解を支持し、イタリアを枢軸国側から離脱させることが最終的な目標となりました。しかし、イギリスのチャーチル首相は当初、イタリアを特例として無条件降伏には含めないという考えを持っていましたが、最終的には全ての枢軸国の無条件降伏路線が支持されることになりました。

ムッソリーニの排除

1943年春、北アフリカにおけるイタリア軍の失敗は、国内でのファシスト政権批判を助長しました。当時、首相であったベニート・ムッソリーニは、体制への忠誠を示す人物を排除する一方で、国王ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世に対しても敵対的でした。このような状況の中、王はムッソリーニの排除を画策し、クーデターの計画を進めました。

7月中旬、国王の指名を受けたバドリオ元帥はムッソリーニとその政権を追放するための動きを始め、最終的にムッソリーニは7月25日に解任され、逮捕されました。後任のバドリオ政権は表向き戦争を続ける姿勢を見せましたが、実際には連合国との和平交渉を進めていました。

連合国との秘密の和平交渉

新政権は連合国との接触を図り、バチカンを通じて交渉を始めました。8月31日、カステッラーノ准将はシチリアに到着し、連合国側にイタリア軍の停戦条件を話し合うための準備を進めました。連合国は徐々にイタリアが降伏への動きを見せていると感知しました。

降伏の手続きと公表

9月2日、カステッラーノは連合軍との調印式を用意しましたが、降伏に関する権限を持っていなかったため、一時的に停戦に関する体裁を整えようとしました。最終的には権限が授けられ、午後5時15分に正式な調印が行われました。しかし、連合軍側はこの情報を公表する前に、イタリアの降伏受け入れを世界に発信しました。

ドイツ軍の反応とその結果

イタリアの降伏が公表されると、ドイツは即座に反応し、イタリア内部の権力を取り戻そうと動き出しました。ヒトラーはムッソリーニを奪還し、傀儡政権であるイタリア社会共和国を樹立。結局、イタリアは連合国への全面降伏を余儀なくされ、戦争が続く中で多くの兵士が武装解除され、イタリア全土はドイツ軍に制圧されました。

このようにイタリアの降伏は、連合国と枢軸国の戦局を大きく変える重要な出来事となりました。

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