イタロ・カルヴィーノ

イタロ・カルヴィーノは、1923年にキューバで生まれ、幼少期をイタリアで過ごしました。第二次世界大戦中はパルチザンとして活動し、戦後、トリノ大学で文学を学びました。その後、出版社に勤務し、作家としてのキャリアをスタートさせます。

カルヴィーノの作風は多岐にわたります。初期には、パルチザンでの経験をもとにしたネオレアリズモ文学の傑作『くもの巣の小道』を発表しました。その後、『まっぷたつの子爵』『木のぼり男爵』『不在の騎士』といった、寓話的でファンタスティックな要素を持つ作品を発表し、アンチ・ネオレアリズモの旗手として注目を集めました。これらの3作は『我々の祖先』としてまとめられています。

1960年代以降は、科学的な知見と空想力を融合させた作品を多く発表しました。『レ・コスミコミケ』や『柔らかい月』は、その代表作です。また、メタフィクションの手法を用いた『冬の夜ひとりの旅人が』や、マルコ・ポーロを語り手に架空の都市を描く『見えない都市』など、実験的な作品にも挑戦しました。

カルヴィーノは、文学作品だけでなく、民話の収集・編纂にも力を注ぎました。『イタリア民話集』は、イタリア各地の民話を体系的にまとめた労作であり、子供向けの本としても高く評価されています。

1976年には国際交流基金の文化使節として来日し、日本の文化に触れ、その経験はエッセイ集『砂のコレクション』に収められています。

晩年はパリで隠遁生活を送り、その後ローマに移り住みました。1985年に脳卒中で急逝し、未完の遺作『ジャガーの空の下で』は、彼の死後に刊行されました。また、ハーバード大学での講義のために用意していた草稿は、文学論『カルヴィーノの文学講義』として出版されました。

カルヴィーノの作品は、その多様性と独創性から、世界中で多くの読者を魅了し続けています。彼の作品は、現代文学における重要な位置を占めており、今なお多くの作家や研究者に影響を与えています。

主な作品は以下の通りです。

長編小説：
『くもの巣の小道』
『まっぷたつの子爵』
『木のぼり男爵』
『不在の騎士』
『見えない都市』
『冬の夜ひとりの旅人が』
短編集：
『レ・コスミコミケ』
『柔かい月』
『宿命の交わる城』
『パロマー』
ジュブナイル：
『マルコヴァルドさんの四季』
エッセイ・評論：
『なぜ古典を読むのか』
『カルヴィーノの文学講義』
『砂のコレクション』
編著：
『イタリア民話集』

カルヴィーノの作品は、その独特な世界観、実験的な手法、そして深遠なテーマにより、読者を魅了し続けています。彼の作品は、文学の可能性を追求し、常に新しい表現に挑戦し続けた結果であり、現代文学に大きな足跡を残しました。

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