イチイ属

イチイ属（Taxus）は、イチイ科に分類される針葉樹の属であり、一般的に「イチイ」と総称されることもあります。ただし、イチイはイチイ属の一種であるTaxus cuspidataの標準和名でもあります。

特徴

イチイ属の最大の特徴は、針葉樹でありながら葉に樹脂道を持たないことです。これは、他の多くの針葉樹とは異なる点です。また、イチイ属の植物は、タキシンなどの有毒なアルカロイドを含んでいます。これらのアルカロイドは、そのまま薬として利用されることもありますが、抽出されたタキサン類似体は、抗癌剤タキソールをはじめとする様々な医薬品の原料としても重要な役割を果たしています。

主な種

イチイ属には、以下のような種が含まれます。

Taxus baccata：ヨーロッパイチイ、セイヨウイチイ (European Yew)
Taxus brevifolia：タイヘイヨウイチイ (Pacific Yew)。かつてはセイヨウイチイと誤称されていました。
Taxus canadensis：カナダイチイ (Canadian Yew)
Taxus chinensis：チュウゴクイチイ (Chinese Yew)
Taxus cuspidata：イチイ (Japanese Yew)。日本に自生する代表的な種です。
Taxus floridana：フロリダイチイ (Florida Yew)
Taxus globosa：メキシコイチイ (Mexican Yew)
Taxus sumatrana：スマトライチイ (Sumatran Yew)
* Taxus wallichiana：インドイチイ、ヒマラヤイチイ (Himalayan Yew)

これらの種は、それぞれ異なる地域に分布し、微妙な形態的特徴の違いが見られます。イチイ属は、その多様性と薬理学的価値から、研究者や園芸家にとって興味深い植物群です。

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