イチゴヤドクガエル

イチゴヤドクガエルについて

イチゴヤドクガエル（Dendrobates pumilio）は、ヤドクガエル科に属する非常に小型のカエルで、主にコスタリカ、ニカラグア、パナマ西部に生息しています。最大の体長は2から2.5センチメートルで、このサイズはヤドクガエル属の中でも特に小さい部類に入ります。種の名前である「pumilio」は、スペイン語で「小さい」を意味し、その体の大きさを反映しています。

毒の秘密

イチゴヤドクガエルは、独自の毒を持っており、この毒は「プミリオトキシン」と呼ばれるアルカロイド系の物質です。毒の摂取源はこれまでアリやてんとう虫と考えられていましたが、2004年に京都大学の研究者によって、パンマの特定のダニからも毒成分が見つかりました。このことから、イチゴヤドクガエルは特定の食物を通じて体内に毒を蓄えていることが分かっています。

色彩と変異

イチゴヤドクガエルは、通常、胴体が赤く、四肢が暗青色という見た目が一般的ですが、地域や個体によって様々な色合いや斑紋のパターンを示します。中には黒、黄色、緑色など、多様な色合いを持つ個体もあり、これらの個体は時に別種として扱われることもあります。

生態と繁殖

このカエルは熱帯雨林の地表に生息し、オスが約300平方センチメートルの縄張りを確保して生活します。食性は動物食で、小型の昆虫やダニを主に食べて生活します。繁殖については、卵生であり、オスが落ち葉の下に精子を放出するのを受けて、メスがその上に卵を産み付けます。孵化した幼生は、メスがその背中に乗せて水場へ運び、ここでメスは無精卵を与えながら幼生を育てる「エッグフィーダー」と呼ばれる特異な繁殖形態を持っています。

このカエルの特徴的な青い四肢は、まるで「ジーンズ」を履いているようだということで、「ブルージーン」とも呼ばれることがあります。

人間との関係

イチゴヤドクガエルはペットとしても人気があり、日本にも輸入されていますが、飼育するには特別な注意が必要です。特殊な繁殖方法があるため、飼育下での繁殖は難しく、主に野生から捕獲された個体が流通しています。これらのカエルは強い毒を持つため、取り扱う際は手袋を使用するなどの注意が求められます。また、オスは縄張り意識が強いため、1匹またはペアでの飼育が推奨されます。餌には、市販の栄養剤をまぶしたショウジョウバエを与えるのが一般的です。

参考文献

• - 海老沼剛 『爬虫・両生類ビジュアルガイド カエル2』
• - 杉山伸 「小さな蛙の毒の不思議」『クリーパー』第24号
• - 千石正一監修 『爬虫類・両生類800種図鑑 第3版』

イチゴヤドクガエルは、その鮮やかな色と独特な生態により、自然界での重要な役割とともに、人々の興味を引き続けています。

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