イチゴ萎黄病

イチゴ萎黄病について

イチゴ萎黄病（イチゴいおうびょう）は、特定の糸状菌、Fusarium oxysporum f. sp. fragariaeによって引き起こされる病気です。この病気はイチゴを主な対象とし、特に収穫に影響が出るため、注意が必要です。イチゴ萎黄病は、他の植物に見られるフザリウム病の一種であり、野菜の種類によって異なる症状が現れます。例えば、アブラナ科の野菜やイチゴでは萎黄病と呼ばれ、トマトやジャガイモでは萎凋病、ナスには半枯病が該当します。

イチゴ萎凋病は、異なる病原体であるVerticillium dahliaeが引き起こしますが、一般的に「半身萎凋病」として知られています。このように、同じような症状でも異なる原因が存在するため、農業従事者は適切な診断が求められます。

病徴

イチゴ萎黄病に感染した植物では、新たに出る葉っぱの一部が黄色くなったり、奇形化したりするのが確認されます。また、根元のクラウン部分が褐変し、最終的には株全体が枯死することがあります。特に導管が黒褐色に変色する症状は、イチゴ萎黄病の診断において重要なポイントです。

被害

この病気が収穫時期に発症した場合、実の数が減少したり、果実が十分に成長しなかったりすることがあります。イチゴ萎黄病は1965年にオーストラリアで初めて確認されましたが、日本では1970年に岡山県をはじめとする複数の県で同時に発生が報告されています。

感染経路

Fusarium oxysporum f. sp. fragariaeはイチゴ専用の病原菌で、耐久性に優れた厚膜胞子を形成します。こうした胞子は土壌の中で数年間生存し、伝染源となることがあります。特に、前年に感染した親株や病原菌の混入した土壌が感染源となります。また、親株を植える際に使用するビニルポットを通じての感染も見られます。菌はイチゴの根から侵入し、導管を通じて広がっていきます。

防除方法

イチゴ萎黄病の防除には、いくつかの対策が有効です。まず、無病株の親株を選び毎年更新することが重要です。育苗圃では、十分な選抜を行い、病気にかかった株が本圃に持ち込まれるのを防ぎます。また、病気が見つかった株は速やかに撤去し焼却します。さらに、発病が確認された圃場では土壌消毒を実施し、育苗トレイやポットの消毒も怠らないようにしましょう。

イチゴの品質を保つためには、これらの予防策を徹底的に行うことが重要です。病気の早期発見と適切な対処が、健全なイチゴの生産を支えるのです。

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