イッケイキュウカ

イッケイキュウカ (Cymbidium faberi) の概要

イッケイキュウカは、ラン科に属し、主に中国を中心に分布しています。与えられた名前「一茎九花」は、一本の茎に九輪の花が咲くことから由来しており、その形状は美しい東洋ランとして多くの人に親しまれています。特に、シュンランに似た緑色の花を多数つけるのが特徴です。

形態的特徴

この多年生草本植物は、地上に広がる根から生じた5〜9枚の葉を持ち、これらの葉は細長く、高さは約50cm程に達します。葉は革質で、力強く伸びる様子が印象的です。また、直立した花茎には、先端から中程にかけて10〜20輪の花が開くため、まるで花のタワーのような姿を見せます。

花は、シュンランと似た特徴を持ち、萼片は開きつつも先端が前方に向かって少しだけ折れ曲がる様子を見せます。一般的に、外見には黄緑色から淡緑色のグラデーションを帯び、唇弁には淡い緑色から白色が見られ、さらに赤紫色の斑点が入ることがあります。このような花の美しさから、長い間愛好者により栽培されてきました。

生育地域

イッケイキュウカは、ヒマラヤから中国、そして台湾方面に広がっています。特に中国では、浙江省や江蘇省が代表的な産地として知られています。これらの地域では、品種改良や栽培技術が発達し、さまざまな選別品種が作出されてきました。

利用と歴史

古くから育てられてきたイッケイキュウカは、東洋ランの一つとして広く認知されています。その中で、特に名高い品種「緑蜂巧」は、300年以上前に発見され、以降も受け継がれてきました。この歴史は、他の品種でも同様で、程梅や潘緑梅なども近く300年前に発見されたとされています。

花の評価や命名は、中国春蘭との共通点が多く見られます。梅弁、水仙弁、荷花弁が理想的な形状として語られ、それに伴う品種名も同じく「○○梅」といった形で命名されることが一般的です。また、色分けの段階では、赤く色づく「赤茎」と、全体に緑色の「緑茎」、素心（色合いが一様なもの）に分類されることが多くなっています。

ただ、日本国内でのイッケイキュウカの数は、中国春蘭に比べるとかなり少なく、このひとつの理由として植栽にかなりのスペースを要し、また維持管理が難しいことが挙げられます。食いしん坊のように成長するため、大きな鉢での育成が必要であり、植物愛好家にとってはその手間が問題となることが多いためです。

代表的な品種

ここで、イッケイキュウカの代表的な品種を紹介します。

• - 緑茎種：花茎や子房に赤味がなく、全身が緑色であり、花には赤い斑紋が見られるもの。

- 品種名例：潘緑梅・楼梅（水仙弁）・極品・大一品・仙緑（以上、水仙弁）

• - 赤茎種：花茎や子房に赤味が現れるもの。

- 品種名例：程梅・南陽梅・崔梅（水仙弁）・江南新極品（水仙弁）・鄭孝荷（荷花弁）

• - 素心種：花茎や子房、花全てに赤味が無いもの。

- 品種名例：温州素・如意素・翠定荷素

このように、イッケイキュウカは美しい姿と歴史的価値を持つ重要な植物として、多くの人々に愛されています。

もう一度検索