東洋ラン

東洋ランとは

東洋ラン（とうようラン）とは、中国と日本において古くから珍重されてきたラン科植物を指す言葉です。この植物群は特に観賞用として栽培され、古典園芸植物の中でも重要な地位を占めています。多彩な種類が存在し、それぞれ独自の美しさが評価されています。

含まれる種

中国産の東洋ラン

中国からの東洋ランには、花や葉の美しさを楽しむ多くの種があります。特に以下のものが有名です。

• - チュウゴクシュンラン（中国春蘭）
• - イッケイキュウカ（一茎九華）
• - 恵蘭（けいらん）
• - タイミンラン（大明蘭）
• - ホウサイラン（報歳蘭）
• - オラン（雄蘭）
• - メラン（雌蘭）
• - ソシンラン（素心蘭）
• - キンリョウヘン

日本産の東洋ラン

日本国内でも独自の品種があります。

• - シュンラン（日本春蘭）
• - カンラン（寒蘭）
• - フウラン（富貴蘭）
• - セッコク（長生蘭）

近年では、中国各地から新たなシュンランやカンランの近縁種が輸入され、「中国奥地蘭」として流通しています。

鑑賞の基準

東洋ランの鑑賞基準の多くは、中国春蘭に由来しています。その特徴的な花形や色は、日本のシュンランとも似ている部分があります。特に重要なのは花色で、ヒスイの緑が理想とされています。また、花の形は特に重視され、以下の三種類に分類されます。
1. 梅弁（ばいべん）：小さい唇弁と固まった副弁が特徴。
2. 水仙弁（すいせんべん）：外弁が細長く、伸びやかに表現される。
3. 荷花弁（かかべん）：広くて短い外弁が、唇弁を中心に咲きます。

日本春蘭では、色変わり品や蝶咲きなど多種多様な花型が好まれます。寒蘭の花は細く先の尖ったものが多く、花色の変化に注目が集まります。特に模様のある葉を楽しむ富貴蘭や長生蘭も人気です。

栽培方法

一般的に、東洋ランは専用の鉢に植えられ、特に腰の高い鉢が使われます。培養する土は、多孔質で有機物の少ないものが好まれ、鹿沼土が一般的です。富貴蘭や長生蘭は着生植物で、ミズゴケを用いた栽培が行われます。この方法は、植物の自然な成長環境を再現し、健康的に育てるために重要です。

日本での展開

東洋ランは中国から輸入されるだけでなく、日本国内でも独自に栽培が行われています。特に江戸時代から盛んになり、多くの品種が育成されました。シュンランはまとまった花形が特徴で、寒蘭は花びらが細く、色の変化に注目が集まります。現代では、葉芸品も多く見られるようになり、様々な観賞スタイルが確立されています。

周辺事情

日本の古典園芸は、大正時代に成金趣味と結びつき、結果的に高値で取引されることが多くなりました。本来自然に自生していた植物が、需要により乱獲される現象が見られ、特にカンランの乱獲は問題視されています。ただ、近年では人工授粉や選別品種の販売が盛んになり、流通の形も変わり始めました。人工的に作り出された美しい品種が広まりつつある一方で、本来の魅力が失われる危険も示唆されています。

このように、東洋ランは多様な美しさと栽培の歴史を持つ植物であり、その鑑賞文化は今後も進化し続けることでしょう。

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