イツハーク・モルデハイ

イツハーク・モルデハイ — イスラエルの政治と軍事の歴史

イツハーク・モルデハイ（Yitzhak Mordechai）は1944年11月22日にイラク北部で生まれた、クルド系ユダヤ人の政治家及び軍人です。彼は国防相としてイスラエルの安全保障政策に影響を与え、軍歴においても顕著な功績を残しました。

出自と軍での経歴

モルデハイは、1949年に家族と共にイスラエルに移住しました。その後、1962年にイスラエル国防軍に入隊し、陸軍の落下傘部隊に志願しました。彼は1973年の第4次中東戦争に従軍し、シナイ半島での戦闘に参加。戦闘において勇敢さを示し、同年に勇気記章を授与されました。

彼は軍内でのキャリアを順調に積んでいき、1984年に准将、1986年には少将に昇格しました。また、その年に軍の南部管区の司令官に就任し、さらに1989年には中央管区司令官、1991年から1994年まで北部管区司令官をつとめました。モルデハイはその後、参謀総長に就任することを望んでいましたが、その願いは叶わず、1995年に国防軍を退官しました。この退官を機に、彼は政界への進出を決意します。

政界入りとネタニヤフとの対立

国防軍退官後の1996年、モルデハイはベンヤミン・ネタニヤフの招きに応じて政界に進出します。彼は右派政党リクードの候補として総選挙に出馬し、当選。ネタニヤフの下で国防相としてを務めることとなります。しかし、モルデハイはリクード内部ではハト派に属しており、対アラブ・パレスチナ融和を唱える考え方が、強硬派のネタニヤフと対立します。

1999年1月、モルデハイは新党の結成を明言し、候補者登録を拒否。これに対し、ネタニヤフは彼を更迭し、記者会見で激しい言葉で糾弾しました。国防相を辞任したモルデハイはリクードを離党し、同じく党を離れていたダン・メリドール財務相らと共に中道新党を結成します。

一時は支持率が20パーセントに達するものの、最終的にその数字は低下し、6議席に終わる結果となりました。

セクハラ事件と政界からの引退

選挙戦の最中、モルデハイは、労働党のエフード・バラックを支持し、結果としてバラックが首相に就任する大きな役割を果たします。これにより、政敵であるネタニヤフを失脚させましたが、その後のモルデハイの政治的なキャリアは急速に崩れ落ちていきます。

2000年、運輸省の女性職員に対する強制わいせつ事件が発覚し、彼は大臣を辞任。その後、逮捕、起訴され、翌年には有罪判決が下されます。議員としての職も辞することになり、モルデハイは政界から完全に引退しました。

まとめ

イツハーク・モルデハイは、政治家、軍人としてのキャリアを経て様々な経験を持つ人物です。彼の人生は、イスラエルの政治と軍事の複雑な関係を如実に物語るものであり、その功績と同時に、政界での激しい対立やスキャンダルを通じて、政治家としての厳しい現実をも浮き彫りにしています。

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