イヌガシ

イヌガシ（犬樫）の詳細

イヌガシは、クスノキ科に属する常緑性の亜高木で、雌株と雄株が別々に存在する雌雄異株の植物です。別名としてマツラニッケイとも呼ばれています。

特徴

イヌガシは、高さが4メートル程度まで成長する常緑性の小木です。樹皮は灰黒色で、ひび割れることはありません。葉は対になって生え、若い葉は垂れ下がっており、絹のような毛で覆われています。成熟すると葉は開き、深緑色の革のような質感になり、裏面は粉白色を帯びます。葉の表面には鈍い光沢があり、葉身は長さ5〜12cmの長楕円形から倒卵状長楕円形をしており、三本の葉脈がはっきりと見えます。

花は2月から3月にかけて開花し、雌雄異株です。葉の付け根や、葉が落ちた後の葉の付け根に、集散花序を形成します。花の色は暗紅色で、10月から11月にかけて黒紫色の液果を実らせます。

イヌガシは、同じクスノキ科のシロダモと外見がよく似ていますが、全体的にイヌガシの方が小型です。また、シロダモは秋に黄色い花を咲かせ、赤い果実をつける点がイヌガシとは異なります。さらに、シロダモは海岸近くに多く見られるのに対し、イヌガシは山間部にも分布しています。

分布と生育環境

イヌガシは、本州の関東南部以西、四国、九州、奄美群島、琉球にかけて分布しています。国外では、朝鮮半島や台湾でも確認されています。比較的温暖な地域の山地や丘陵に自生しています。

利用

イヌガシの材は、器具材や薪炭材として利用されることがあります。かつては生活に身近な植物として、人々の暮らしを支えていました。

参考文献

北村四郎・村田源、『原色日本植物図鑑・木本編II』、(1979)、保育社、ISBN 4-586-30050-7

関連項目

木の一覧（例として、木の一覧へのリンクを挿入）

もう一度検索