クスノキ科

クスノキ科（Lauraceae）は、被子植物に属する科で、約55属2000種以上を含む多様なグループです。主に温帯南部から熱帯地域、特に東南アジアやブラジルに多く分布しています。日本では、タブノキをはじめとする照葉樹林の構成種としてよく知られています。

特徴

クスノキ科の植物の多くは常緑の高木または低木ですが、一部には落葉性のものや、スナヅル属のように他の植物に寄生するつる性の種も存在します。多くの種が精油を含み、芳香を持つことが大きな特徴です。この芳香成分は、クスノキから採れる樟脳や、シナモン、ゲッケイジュなどの香辛料として利用されています。また、クロモジは爪楊枝の材料となるだけでなく、香料としても利用されます。さらに、アボカドは脂肪分が豊富で、果樹として広く栽培されています。

花は小さく目立たないものが多く、花被は内側と外側にそれぞれ3枚ずつあります。花びらとがくの区別は明確ではありません。果実は液果で、中に種子が1つ含まれています。

分類

クスノキ科は、その多様性から多くの属に分類されています。以下に主な属とその代表的な種を挙げます。

バリバリノキ属 (Actinodaphne) - バリバリノキなど。
アニバ属 (Aniba) - パウローサなど。
アカハダクスノキ属 (Beilschmiedia) - アカハダクスノキなど。
スナヅル属 (Cassytha) - スナヅル、イトスナヅル、ケスナヅルなど。
Chlorocardium - グリーンハートなど。
ニッケイ属（クスノキ属） (Cinnamomum) - クスノキ、シナモン、ニッケイ、ヤブニッケイ、シバニッケイ、マルバニッケイなど。
シナクスモドキ属 (Cryptocarya) - シナクスモドキなど。
マキミグス属 (Dehaasia) - メダンテラスなど。
Dicypellium - ブラジルチョウジなど。
コウトウクスモドキ属 (Endiandra) - コウトウクスモドキ、クイーンズランドウォルナットなど。
ボルネオテツボク属 (Eusideroxylon) - ボルネオテツボク。
Kuloa - Kuloa ikonyokpe、Kuloa michelsonii、East African camphorwoodなど。
ゲッケイジュ属 (Laurus) - ゲッケイジュ。
クロモジ属 (Lindera) - クロモジ、テンダイウヤク、ヤマコウバシ、カナクギノキ、オキナワコウバシ、シロモジ、アブラチャン、ダンコウバイなど。
ハマビワ属 (Litsea) - ハマビワ、アオモジ、カゴノキなど。
タブノキ属 (Machilus) - タブノキ、アオガシなど。
Mezilaurus - イタウバなど。
Nectandra - アグアカティロなど。
カイナングス属 (Neocinnamomum) - カイナングスなど。
シロダモ属 (Neolitsea) - シロダモ、イヌガシ、ダイトウシロダモなど。
Ocotea - インブイアなど。
アボカド属（ワニナシ属） (Persea) - アボカド。
タイワンイヌグス属 (Phoebe) - タイワンイヌグス。
Potoxylon - マラガンガイ。
サッサフラス属 (Sassafras) - サッサフラス。
Umbellularia - カリフォルニアゲッケイジュ/ペッパーウッド。

APG植物分類体系

APG植物分類体系では、クスノキ科はクスノキ目（Laurales）に分類されます。

クロンキスト体系

クロンキスト体系でも、クスノキ科はクスノキ目に分類されます。

新エングラー体系

新エングラー体系では、クスノキ科はモクレン目（Laurales）に分類されます。

利用

クスノキ科の植物は、その芳香や有用な成分から、古くから様々な形で利用されてきました。クスノキから採れる樟脳は防虫剤として、シナモンやゲッケイジュは香辛料として、アボカドは食用として世界中で親しまれています。また、クロモジは爪楊枝の材料として、木材は建築材や家具材として利用されるなど、多岐にわたる用途があります。

まとめ

クスノキ科は、多様な種を含む重要な植物群であり、その多くが私たちの生活に密接に関わっています。芳香を持つ種が多いことから、香料や香辛料としてだけでなく、木材や薬用としても利用されるなど、その価値は非常に高いと言えるでしょう。

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