イノモトソウ科

イノモトソウ科の概要

イノモトソウ科（イノモトソウか、学名: Pteridaceae）は、シダ植物に属する広範な科の一つです。この科は、胞子嚢群が葉の脈に沿って形成され、包膜を持たないという特徴を持っています。イノモトソウ科は50以上の属、100を超える種を含み、全体のシダ植物の多様性の約10%を占める重要な存在です。

特徴

イノモトソウ科の植物は多様な生育環境に適応しており、地上で生育するもの、岩の上で育つもの、他の植物に寄生する着生種、場合によっては水中で育成する沈水生の種も存在します。根茎の形状は匍匐、直立、または斜めに立っており、葉の基部には鱗片や毛が生じる場合があります。葉は単葉、1回羽状、またはさらに分岐した形状を持ち、葉軸の上面には溝があるケースが多いです。また、葉の裏面には胞子嚢群が着生し、胞子嚢の環帯は上向きに配置され、一般的に1つの胞子嚢におよそ32から64個の胞子が含まれます。

この科の配偶体は多くの種で緑色を保持し、心臓形を呈していますが、特定の亜科では不定形になる例も見受けられます。

分類

イノモトソウ科は、その多様性が非常に高く、以前はより広い範囲の群を包含していました。昔の研究では、いくつかの属が別科として分けられていましたが、最新の分子系統を用いた研究によって見直されています。たとえば、歴史的にはタカワラビ科やホングウシダ科などの科として独立して扱われてきた植物が、現在はイノモトソウ科に含まれるようになっています。

分子系統の進展により、従来の分類法は大きな影響を受けており、特定の属が他の科に移されることもあります。たとえば、これまでイノモトソウ科に含まれていたカラクサシダ属はウラボシ科に組み入れられています。さらに、ホウライシダ科は吸収される形となり、一部の属は逆にイノモトソウ科から他の科に移されています。

下位分類

イノモトソウ科は多様な亜科に分けられ、その各亜科もさらなる属に細分化されています。海老原（2016年）によれば、以下のような亜科と属が示されています。

• - リシリシノブ亜科: リシリシノブ属、イワガネゼンマイ属など
• - ミズワラビ亜科: ミズワラビ属
• - イノモトソウ亜科: イノモトソウ属やグローバルに多くの種
• - エビガラシダ亜科: エビガラシダ属
• - シシラン亜科: ホウライシダ属など

日本国内では、リシリシノブ属のリシリシノブやヤツガタケシノブ、イワガネゼンマイ属のイワガネソウ、ミズワラビ属のミズワラビなどが知られています。これらの植物は、各地域の生態系に重要な役割を果たしています。

まとめ

イノモトソウ科は、シダ植物の中でも特に変種が豊かで、各地で多様性を持つ重要な植物群であり、分子系統の研究によってその分類や関係性が次々と解明されています。これにより、シダの生態や進化の背景を深く理解するための第一歩となっています。

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