イバラキ病

イバラキ病について

イバラキ病は、イバラキウイルスの感染によって引き起こされる牛の病気です。かつてはブルータング様疾病として知られていましたが、現在では家畜伝染病予防法において重要な位置を占めています。この感染症は、牛や水牛、そしてめん羊が宿主となりますが、めん羊においては強い病原性は見られません。

病原体の特性

この感染症の病原体は、Reoviridae科 Sedoreovirinae属のOrbivirusに属するイバラキウイルスです。このウイルスはEHDV（家畜流行性出血病ウイルス）に関連しており、中和テストでは血清型2型（EHDV-2）と近縁です。遺伝子構造はdsRNAで、10本の分節から成り立っています。ヌカカという昆虫がこのウイルスの主なベクターとして知られています。

分布と流行の状況

イバラキ病は主に東アジアや東南アジア、オーストラリアで確認されており、ウイルスの伝播は季節性があります。特に夏から秋にかけて流行する傾向があります。日本における北限は北緯38度（新潟県や福島県以南）であり、1959年の夏から秋にかけて関東地方で初めて確認されました。その後、1982年に九州地方で小規模な流行が見られ、韓国でも同時期に感染が報告されています。1997年から1998年にかけては西日本全体に広がり、地域特性も見られます。

流行が見られる地域には低地や湿地が多く、肉用牛はホルスタイン種に比べて黒毛和種や褐色和種が高い感受性を示しています。ウイルスの感染は、ウイルス血症を持つ動物を吸血したヌカカを介して行われます。日本ではウシヌカカの活動が特に重要視されています。

症状と診断

イバラキ病にかかると、初期症状として発熱、食欲不振、結膜の充血、浮腫が見られます。その後、発症から3日から7日後には嚥下障害や舌の麻痺が現れ、水分摂取不足から脱水症状を引き起こすケースもあります。また、誤嚥性肺炎などによって重篤な状況に至ることがあります。流死産との関連も指摘されています。

診断は、患者からの赤血球を特定の細胞に接種することで行い、血清診断ではHI反応や中和テストを利用します。

治療と予防策

治療方法としては、嚥下に困難を抱える場合に胃カテーテルを使って水分補給を行ったり、輸液による脱水防止が行われます。しかし、効果的なワクチンも開発されており、予防の主な手段となっています。適切な予防策を講じることで、この感染症の拡大を抑えることが期待されています。

まとめ

イバラキ病は牛にとって深刻な感染症ですが、正しい知識と予防策を講じることにより、そのリスクを大幅に減少させることが可能です。

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