イフ (雑誌)

アメリカのSF雑誌『イフ』（If）

『イフ』は、1952年から1974年までアメリカで発行されていたSF雑誌です。パルプ雑誌の隆盛期に誕生し、数々の変遷を経てSF界に独自の足跡を残しました。

創刊と初期

1952年3月、クイン社のジェイムズ・L・クインによって創刊されました。当初は月刊でしたが、初代編集長ポール・W・フェアマンの解雇後、クイン自身が編集長を務めました。1958年にはデーモン・ナイトが編集長となりますが、間もなくギャラクシー社のロバート・グインに売却されました。

ホレース・ゴールドとフレデリック・ポールの時代

ギャラクシー社は、ホレース・L・ゴールドを編集長に迎えました。その後、フレデリック・ポールが編集長を引き継ぎ、『イフ』誌は黄金時代を迎えます。1966年から1968年まで、ヒューゴー賞ベスト商業誌部門を3年連続で受賞しました。

衰退と終焉

1966年、グインは雑誌をUPD社に売却。F・ポールは編集を離れ、エイラー・ヤコブソンが編集長に就任しますが、雑誌は低迷し、1974年に『ギャラクシー』に統合されました。

内容と評価

『イフ』は、第一級のSF雑誌とは見なされていませんが、ロバート・A・ハインラインの『月は無慈悲な夜の女王』、ハーラン・エリスンの「おれには口がない、それでもおれは叫ぶ」など、多くの有名賞受賞作を掲載しました。ラリー・ニーヴンなど、この雑誌からデビューした著名な作家もいます。

創刊号はハワード・ブラウンのミステリーで、ジフ＝デイヴィス社の常連作家の作品が並びました。クインが編集長になると改善され、ジェイムズ・ブリッシュの『悪魔の星』はヒューゴー賞を受賞しました。

1950年代は『アスタウンディング』、『ギャラクシー』、『F&SF』が主流でしたが、『イフ』もハーラン・エリスンやアーサー・C・クラークの作品を掲載しました。フレデリック・ポール時代にはヒューゴー賞を3年連続受賞し、ニーヴンの「中性子星」、エリスンの「おれには口がない、それでもおれは叫ぶ」などが受賞しました。また、ロバート・A・ハインラインの長編3作も掲載しました。

ポールは新人作家の作品を積極的に掲載し、アレクセイ・パンシンやラリー・ニーヴンなどがデビューしました。1960年代のカバーはアクション指向で、若年層を意識した作品も掲載されました。

書誌情報

• - 判型: ダイジェスト・サイズ
• - 容量: 124ページから164ページ
• - 発行: 月刊（一時隔月）
• - 価格: 35セントから75セント

歴代編集長

• - ポール・W・フェアマン（1952年3月 - 1952年9月）
• - ジェイムズ・L・クイン（1952年11月 - 1958年8月）
• - デーモン・ナイト（1958年10月 - 1959年2月）
• - H・L・ゴールド（1959年7月 - 1961年11月）
• - フレデリック・ポール（1962年1月 - 1969年5月）
• - エイラー・ヤコブソン（1969年10月 - 1974年1・2月）
• - ジム・ビーン（1974年3・4月 - 1974年12月）
• - クリフォード・ホング（1986年9・11月号）

『イフ』は、SF史において重要な役割を果たした雑誌の一つです。その歴史と内容を知ることで、SFの多様な魅力を再発見できるでしょう。

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