ヒューゴー賞

ヒューゴー賞 (The Hugo Awards)

ヒューゴー賞は、毎年発表されるSF（サイエンスフィクション）およびファンタジー作品と、その関連人物に与えられる著名な賞です。賞は、授賞式として知られるワールドSF大会（通称：ワールドコン）で発表され、作品のカテゴリは小説から映像、コミックなど多岐にわたります。特に注目すべきは、この賞の選考方法です。ヒューゴー賞には選考委員や審査員が存在せず、ワールドコン参加者つまり一般ファンによる投票によって受賞者が決まります。この運営を担っているのは、ワールドSFソサエティ（World Science Fiction Society, WSFS）です。

概要

ヒューゴー賞は1953年に誕生し、現在も続く歴史あるSF・ファンタジー文学賞の一つです。アカデミー賞をモデルとして提案され、アメリカSF界の先駆者であるヒューゴー・ガーンズバックに由来しています。ヒューゴー賞の受賞者には流線型ロケットを象ったトロフィーが贈呈され、1984年からはトロフィーのデザインが一部変更されています。

対象ジャンルと部門

WSFSの規約では、ヒューゴー賞の対象としてSFとファンタジー作品が明記されており、部門数や名称は時とともに変化してきました。例としては、長編小説、短編小説、映像作品などがあり、時折、その年の特別部門が設けられることもあります。特別賞は特定の条件下で与えられますが、この場合投票を伴わず、通常のヒューゴー賞とは別扱いです。

関連賞

ヒューゴー賞にはいくつかの関連賞も存在します。その一つがアスタウンディング新人賞であり、新進作家に贈られます。この賞はヒューゴー賞とは独立していますが、授賞式はヒューゴー賞セレモニーと同時に行われます。また、2018年に設立されたロードスター賞は、ヤングアダルト向けの作品を対象としています。

さらに、レトロ・ヒューゴー賞は、過去にヒューゴー賞が授与されなかった作品に光を当てるために設けられました。これは、特定の年のワールドコンにおいて、該当年に資格のある作品を対象に選考されます。

投票制度

ヒューゴー賞の選出方法は基本的にファン投票に依存しています。ワールドコンの登録者が有権者となり、毎年の選考は予備投票と本投票の2段階で行われます。予備投票での結果を基に、最終候補が選出され、その後本投票で受賞作が決まります。優先順位を付けた投票制度が採用され、投票者自身が「受賞なし」という選択肢を選ぶことも可能です。

歴史的背景

ヒューゴー賞の誕生は1953年に遡ります。その初回授賞式はフィラデルフィアで行われ、当初は全7部門で実施されました。賞が継続されることは望まれていましたが、当初は一回限りのイベントとして考えられていたため、翌年以降の継続が保証されていませんでした。1955年には再びヒューゴー賞が復活し、以降は恒例行事となりました。

1961年には、各ワールドコン実行委員会を監督するためにWSFSが設立され、賞の公式規定がその後定められることとなりました。この時期には、各部門が多様化し、さまざまな分野の作品が評価されるようになりました。

組織票問題と改革

近年では、組織票問題が浮上し、ヒューゴー賞の選考プロセスに影響を及ぼしました。この問題に対処するため、2017年からは新しい投票制度が導入され、多様性と公平性が保たれるよう改善されました。

まとめ

ヒューゴー賞は、SFおよびファンタジー文学における重要な賞であり、その授賞式は毎年開催されるワールドSF大会での盛大なイベントとして知られています。この賞を通じて、新たな才能が世に出ることへの期待はますます高まっています。

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