イプシロンの方舟とは？意味をやさしく解説

イプシロンの方舟

日本のシンガーソングライター、KOTOKOの4枚目のスタジオ・アルバムであり、メジャー作品としては通算4作目にあたる。2009年 10月14日にジェネオン・ユニバーサルからリリースされた。

制作背景とコンセプト

本作は、2009年のライブツアー『KOTOKO LIVE HOUSE TOUR 2009 WARP !! ～限界打破への旅 -trial stage-～』の期間中に制作が進められた。前作『UZU-MAKI』からは約2年10ヶ月ぶりの発表となった。アルバムの全体テーマは「近未来」。タイトルは地球から約10.5光年離れた恒星「エリダヌス座イプシロン星」に由来し、宇宙や未来への旅を思わせるコンセプトが込められている。

収録曲構成とチャート成績

本作には、前作以降にリリースされた複数のシングル曲から選曲して収録されている。これにより、前作から本作までのKOTOKOの音楽的な軌跡を辿る内容となっている。ただし、「七転八起☆至上主義!」、「Special Life!」、「U make 愛 dream」、「daily-daily Dream」、「snIpe」といった一部のシングル表題曲やカップリング曲は今作には収録されなかった。

発売後のチャート実績としては、オリコンデイリーアルバムチャートで初登場6位、2009年 10月26日付のオリコン週間アルバムチャートで初登場12位を記録した。売上枚数は、初週が10,581枚、累計で15,475枚を記録している。

批評

音楽メディアからは概ね肯定的な評価が寄せられた。音楽出版社の雑誌『CDジャーナル』では、KOTOKOを「圧倒的な歌唱力を持つ“I've最強の歌姫”」と称賛し、彼女の「鋭敏な音楽的嗅覚と独創的な表現力で描かれる音世界」を本作の魅力として挙げた。

また、音楽サイト『BARKS』のレビューでは、本作がKOTOKO自身が「自分のスタイルを見つめ直し生み出された」作品であると分析。「重厚なデジタル・サウンドが縦横無尽に漲る壮大なコンセプト」を持ち、「硬質なシンセサウンドのバックでKOTOKOの変幻自在な歌声が揺れる」と描写された。シリアスな表現から活動的な一面まで、「彼女の魅力が全方位でスパークする」アルバムであり、「KOTOKO史上でも最も重要な場所に位置するアルバムとなった」とその音楽的な位置づけの重要性が指摘されている。

収録曲解説 (抜粋)

本作に収録されている楽曲から、いくつかの代表的なもの、または特徴的なものを以下に紹介する。

ε〜Epsilon〜: 本作のリードトラックであり、ミュージックビデオも制作された楽曲。アルバムのテーマ性を色濃く反映している。
リアル鬼ごっこ: 10枚目のシングルとして発表され、同名映画の主題歌として知られる。
scene: 9枚目のシングル「七転八起☆至上主義!」のカップリング曲として既に発表されていた楽曲。
ハヤテのごとく!: 8枚目のシングル曲。テレビ東京系で放送されたアニメ『ハヤテのごとく!』の前期オープニングテーマとしてオンエアされた。
LITTLE BABY NOTHING: KOTOKOのメジャー作品としては初の洋楽カバー。イギリスのロックバンド、マニック・ストリート・プリーチャーズが1stアルバム『ジェネレーション・テロリスト』に収録した同名曲のカバーである。原曲は男性ボーカルと女性ボーカルのデュエット形式だが、本作のカバーバージョンではI'veのサウンドプロデューサー、高瀬一矢がデュエットを担当している。

イプシロンの方舟